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Shopifyは、Sidekickが連携できるアプリを「1ストアのユーザー1人あたり20本まで」と決めています。開発者ドキュメントのLimitsに、こう書かれています。
Sidekick currently supports integrations with up to 20 apps for each user on a store.
一方、ShopifyがApp Storeで公開しているマーチャント向けガイド Apps that work with Sidekick に載っているアプリは、18本です。
上限には当たりません。詰まっているのは供給側です。そして、なぜここまで少ないのかを追うと、「Sidekickがアプリを操作できる」という言い方が実際に何を指しているのかが見えてきます。
結論
- Sidekick app extensionsは2026年6月17日に全開発者へ公開され、その時点で18社がローンチパートナーとして稼働していました。同じ日付で公開されたマーチャント向けガイドの掲載本数も18本です。
- 種類は2つあります。app data extensionはアプリ内のデータをSidekickが検索できるようにするもの。app actionはアプリ内の該当ページへ連れて行くもの。同じ機能ではありません。
- app actionは何も確定させません。 Shopify自身の検証手順の最終ステップはこうです。「Click Save in the form. The change is committed by your app, not by Sidekick.」ツールの返り値には「the change is staged, not saved」というnoteを入れるよう指示されています。
- app actionが使えるintent typeは13種類だけです。
application/*の10種類がcreateとedit、shopify/*の3種類がimportとimport+bulk。対象外の値を書くとデプロイが弾かれ、ドキュメントは「There's no silent fallback.」と明記しています。 - その13種類のうち4つには、対応アプリが1本も載っていません。 ShopifyはFAQ、B2Bの見積、サポートチケット、配送追跡のintent typeを定義済みですが、ガイドにヘルプデスクもFAQアプリも見積アプリも追跡アプリもありません。
- data extensionは規約として読み取り専用です。「Your app extension must only be used for retrieving data from your app.」更新処理はapp action側、つまりマーチャントが確認する側に置くよう指示されています。
- リストが短い理由は3つの実装要件にあります。既存のMCPサーバーは「can't be reused directly with Sidekick」。認証はShopify managed installとtoken exchangeが必須で「not the legacy OAuth install flow」。そして1アプリあたりintentは5個、toolは20個、レスポンスは4,000トークンまでです。
- ガイドのカードは、2本のアプリの料金を実際より安く見せています。 Discount KitとKitenzo ‑ Bundle Builderのカードは「無料体験あり」としか表示しませんが、リスティングはそれぞれ月額$49.99〜と月額$299です。
- App Storeのアプリページには「Sidekick対応」の表示が一切ありません。 Seguno Email Marketingは、62文字のタグラインに Sidekick-able という単語を入れるという方法で対処しています。
「Sidekickがアプリを使う」の中身
出た機能は2つで、この違いが重要です。
app data extension はヘッドレスで、読み取り専用です。Sidekickが呼び出すとJavaScriptがShopifyのサンドボックス化されたブラウザ環境で走り、JSONを返します。「先月いちばん成果が出たキャンペーンを見せて」と聞けばメールアプリが答える、という形です。境界線はドキュメントに明記されています。「Keep data extensions read-only. Mutations belong in action extensions, where the merchant confirms the change.」
app action extension は、文脈付きのディープリンクです。intentを宣言し、Sidekickがマーチャントの依頼からURLのプレースホルダーを埋め、該当ページに入力済みの状態で着地させます。Shopifyが開発者向けに示している動作確認手順の最後2ステップが、この機能の性格をそのまま表しています。
- With the editor open, ask Sidekick to change something about the design (for example, "switch this to the two-column layout"). Sidekick invokes
design_email; the change appears staged in the form.- Click Save in the form. The change is committed by your app, not by Sidekick.
管理画面の他の場所でも挙動は同じです。ヘルプセンターは「Sidekick can't make changes to your store without your approval, and will only present options for you to review and approve.」としています。注文編集も同様で、Sidekickは注文編集ページへ遷移して変更した項目を紫でハイライトし、Update order を押して初めて注文が更新されます。
アプリ固有の承認レイヤーがもう1つあります。ヘルプセンターは「before Sidekick uses an installed app, it asks for your approval」とし、承認後は「the app is activated for the current conversation only」と書いています。承認は会話をまたぎません。
掲載されている18本
Shopifyはこれを5セクションに分けています。以下の評価・レビュー件数・開発者・料金は、ガイドのカードではなく各アプリのApp Storeリスティングを2026年9月8日に開いて確認したものです。理由は表のすぐ下に書きます。
| セクション | アプリ | 評価 | レビュー | リスティング上の料金 | 開発者 |
|---|---|---|---|---|---|
| Marketing | Klaviyo: Email Marketing & SMS | 4.7 | 3,281 | Free to install | Klaviyo |
| Marketing | TikTok | 4.8 | 15,897 | Free to install(追加料金あり) | TikTok Inc. |
| Marketing | Seguno Email Marketing | 4.8 | 725 | Free to install、無料体験あり | Seguno |
| Marketing | Mailchimp Email SMS Marketing | 4.8 | 1,443 | Free plan available | Intuit Mailchimp |
| Marketing | Checkout Links | 5.0 | 37 | 月額$25、無料体験あり | Checkout Links |
| Marketing | Bloomreach: Loomi AI | 2.5 | 6 | 年額$22,500〜 | Bloomreach |
| Customers | Loop Returns & Exchanges | 4.6 | 442 | Free plan available | Loop |
| Customers | AfterShip Returns & Exchanges | 4.7 | 1,538 | Free plan available、無料体験あり | AfterShip |
| Customers | Judge.me Product Reviews App | 5.0 | 46,536 | Free plan available、無料体験あり | Judge.me |
| Customers | Smile: Loyalty Program Rewards | 4.9 | 4,563 | Free plan available、無料体験あり | Smile.io |
| Customers | Yotpo: Product Reviews App | 4.8 | 4,633 | Free plan available | Yotpo |
| Promotions | Abra Promotions | 5.0 | 60 | Free plan available、無料体験あり | Abra |
| Promotions | Discount Kit | 4.9 | 95 | 月額$49.99〜、無料体験あり | Optizio |
| Promotions | Kitenzo ‑ Bundle Builder | 4.3 | 264 | 月額$299、無料体験あり | Kitenzo |
| Products | Printful: Print on Demand | 4.8 | 3,841 | Free to install | Printful Latvia AS |
| Products | Syncee Premium AI Dropshipping | 4.1 | 543 | Free plan available、無料体験あり | Syncee |
| Store operations | Matrixify | 4.9 | 1,596 | Free plan available | ITissible |
| Store operations | Avia ‑ POS Traffic Counter | 5.0 | 8 | Free to install(従量課金あり) | Retailogists |
ガイドのカードは、2本のアプリの料金を実際より安く見せています。 Discount Kitのカードには「無料体験あり」としか出ません。リスティングを開くと月額$49.99からです。Kitenzo ‑ Bundle Builderのカードも同じ表示ですが、リスティングは月額$299。ガイド掲載アプリのなかで月額の定額としては最高額です。Avia ‑ POS Traffic Counterのカードは「Free to install」ですが、リスティングには「従量課金あり」が付きます。カードではなくリスティングを読んでください。
ガイドページ上で Built for Shopify バッジが付いていたのは18本中11本。レビュー件数は6件から46,536件まで開き、18本のうち5本は100件未満です。年額で最も高いBloomreach: Loomi AI(年額$22,500〜)は、このリストで評価が最も低いアプリでもあります。6件のレビューで2.5です。
そして、載っていないものの方が示唆的です。サブスクリプションアプリがありません。在庫管理もSEOもページビルダーもヘルプデスクも配送ラベルもなく、分析系は実店舗の来客カウンターが1本あるだけです。Recharge、Klaviyo、Gorgias、ページビルダーで組んだスタックなら、この4つのうち載っているのは1つです。
本当の天井はintent typeの13種類
app data extensionは、アプリが検索できるものなら何でも出せます。app actionはそうではありません。すべてのactionは、固定リストからintentの type を宣言する必要があります。
| type | 対象 | 使えるaction |
|---|---|---|
application/ad | Ad campaigns | create、edit |
application/campaign | Marketing campaigns | create、edit |
application/email | Email campaigns | create、edit |
application/faq | FAQ management | create、edit |
application/loyalty-program | Loyalty programs | create、edit |
application/quote | B2Bの見積・交渉アプリ向けQuotes | create、edit |
application/return | Returns management | create、edit |
application/review | Product reviews | create、edit |
application/shipment | Shipment tracking | create、edit |
application/ticket | Support tickets | create、edit |
shopify/customer | Shopify customers | import、import+bulk |
shopify/order | Shopify orders | import、import+bulk |
shopify/product | Shopify products | import、import+bulk |
この表を掲載アプリと突き合わせると、空白がそのまま見えます。email、campaign、ad、loyalty-program、return、reviewには対応アプリがあります。faq、quote、ticket、shipmentにはありません。Shopifyは、誰も作っていない段階でintent typeだけ先に用意しています。shopify/* の3種類はimport専用のワークフローで、これは一括データ処理ツールの仕事です。MatrixifyがStore operationsに入っているのはそのためです。
リストにないtypeを書いた場合、shopify app deploy は Intent is invalid: type '<value>' is not supported で拒否します。ドキュメントは続けて「There's no silent fallback.」と書いています。関係のないtypeを仮置きすることも禁じられ、新しいtypeは公開リポジトリで提案するよう案内されています。
構造上の制約がもう1つあります。intentは1つのpathnameに紐付き、そのpathnameが変わる遷移が起きるとShopifyはintentのモーダルを閉じます。複数ページにまたがる設定フローを、1つのSidekick actionで通すことはできません。
CLIなら数分なのに、なぜ18本なのか
Shopifyのチェンジログは、CLIを使えば「deploy a functional extension in minutes」と書いています。それでも増えていない理由は、ドキュメント内の3つの要件で説明できます。
既存のMCPサーバーは流用できません。 「Existing MCP servers can't be reused directly with Sidekick. Tools must run in Shopify's sandbox and use Shopify authentication.」ツールのスキーマはMCPに似たパターンではあるものの、Shopify固有だとされています。Storefront MCPや自前のMCPサーバーでAIエージェント対応を済ませていたアプリも、ここでは作り直しになります。
レガシーOAuthは対象外です。 「Authenticate with Shopify managed install and token exchange, not the legacy OAuth install flow.」インストールフローを移行していない古いアプリは、ツールを1つ書く前にその作業から始めることになります。
実行時の予算が厳しい。 1アプリあたりintentは5個、toolは全extension合計で20個。ツールのレスポンスは4,000トークン(約16,000文字)に収まらないと拒否され、Shopifyの表現では「the merchant won't see any results」となります。レスポンス時間の上限はapp dataが1秒、app actionが3秒で、これを恒常的に超えるdata extensionは「may be skipped by Sidekick」とされています。extensionのdescriptionは256トークン、instructionsは2,048トークンまでです。
これにShopify CLI 3.90.0以上と、extensions.shopifycdn.com のCORS許可設定が加わります。「数分」はスキャフォールドの話で、移行作業の話ではありません。
4本のリスティングと、1本にだけ出てくる単語
App Storeのアプリページには「連携」の一覧が必ずあります。Checkout、Customer accounts、Shopify POS、Shopify Flow、Shopify Admin、そして名前の付いた外部サービス。以下の4本のどのページにも、Sidekickは項目として存在しません。マーチャントが対応状況を確認できる場所は、Shopifyのガイドページだけです。
Seguno Email Marketing

出典: Shopify App Store(Seguno Email Marketing、2026-09-08時点)
Seguno Email Marketingは、Sidekickを自分のメタデータに書き込んだ唯一のアプリです。リスティングのタグラインは「Canva & Sidekick-able email marketing newsletters & automation」で、機能の箇条書きにも「Create and refine emails with Sidekick AI, or use built-in AI tools」が入っています。一方で「連携」欄に並ぶのはShopify POS、Shopify Flow、Shopify Admin、Canva、Klaviyo、Mailchimp、Postscriptで、Sidekickはありません。Free to installで購読者250人まで無料。Standardが月額$35で購読者2,500人分、Proが月額$215で25,000人分です。
Judge.me Product Reviews App

出典: Shopify App Store(Judge.me Product Reviews App、2026-09-08時点)
Judge.me Product Reviews Appは、ヘルプセンターがサードパーティアプリ対応の説明で名指ししている3本のうちの1本です(残りはKlaviyoとSeguno)。intent typeでいえば application/review に対応します。無料プランあり、Awesomeプランが月額$15で15日間の無料体験付き。リスティングにSidekickの記載はありません。
Checkout Links

出典: Shopify App Store(Checkout Links、2026-09-08時点)
Checkout Linksは2025年のBuild Award受賞アプリで、レビューは37件、月額$25、無料体験ありです。ガイドではMarketingセクションに入っています。このリストに載っていることが規模の証明にはならない、という点の分かりやすい例でもあります。46,536件のアプリと37件のアプリと6件のアプリが同じページに並んでいます。
Matrixify

出典: Shopify App Store(Matrixify、2026-09-08時点)
Matrixifyは一括インポート・エクスポート・更新・移行のツールで、shopify/* の3つのimport系intent typeが本来の居場所になる唯一の掲載アプリです。Shopify自身の移行ガイドが、注文・ブログ・ギフトカードについてサードパーティを案内しているときに名前が挙がるアプリでもあります。無料プランあり、開発元はITissible。
同じ日に追加された2つの規約
サーフェスが開いた2026年6月17日に、ShopifyはSidekick extensionsだけに適用されるApp Store要件を2つ追加しています。
2.2.8 は、Sidekick extensionが「operate within the scope of your app's core functionality」であること、そしてextensionの設定・公開中のApp Storeリスティング・実行時の挙動が「materially consistent」であることを求めています。
2.2.9 はマーチャント側に直接効くものです。「Don't use Sidekick app extensions to promote your app, promote related apps, or request reviews.」
開発者ドキュメントは、これを2段階のスキャンで担保しています。デプロイ時にextensionとtoolのdescription、instructions、input schemaを検証し、実行時にはツールが返したデータを会話で使う前にチェックします。ブロックされたextensionは表示されず、開発者にメールが届きます。禁止事項として名指しされているのは、アップセル、プランのアップグレード誘導、競合比較、偽の緊急性、捏造された推薦です。ShopifyはApp Storeのレビュー健全性に関するルールも2026年7月に強化しており、Sidekick内でのレビュー依頼禁止は単発の措置ではありません。
導入判断をどう変えるか
Sidekick対応をアプリ選定の基準にするのは、まだ早いです。 5カテゴリ18本ではスタックを組めませんし、App Storeに絞り込み手段もありません。まずアプリ自体の要件で選び、そのあとでガイドページを見てください。
見るべきは宣伝文句ではなくintent typeです。 サブスクリプション、在庫、SEO、配送料、ページビルダーのように上の表に該当typeがないカテゴリーでは、リスティングにAIと書いてあってもapp actionは今日時点で出せません。
期待すべきはディープリンクであって、エージェントではありません。 application/* の10種類について現実的に起きるのは、Sidekickが該当レコードを見つけ、正しいページを開き、項目を埋め、そこで止まる、というところまでです。更新は毎回こちらのクリックが要ります。クリック削減が目的なら、実際に何回減るのかを数えてから判断してください。
承認は会話単位です。 承認されたアプリはその会話でだけ有効になります。毎週の定例作業なら、毎週承認し直すことになります。
Sidekick自体の制約も残ります。 顧客対応はできません。モバイルブラウザで開いた管理画面では使えず、Shopifyアプリが必要です。Apple Watchでは質問に答えられますが、ストアの変更も管理画面の遷移もできません。app extensionを入れてもこれらは変わりません。
Shopifyが広げるつもりでいる領域なのは間違いなく、intent typeは提案用の公開リポジトリ付きで公開されています。ただし2026年6月に出たものは発表の印象より狭く、いちばん正確な要約はShopify自身の手順書に書かれています。Sidekickは下書きを作り、保存するのはこちらです。
出典
- Sidekick app extensions — shopify.dev
- Use extensions to surface app data — shopify.dev
- Use extensions to surface app actions — shopify.dev
- Sidekick app extensions available today — Shopify developer changelog、2026年6月17日
- New App Store requirements for Sidekick app extensions — Shopify developer changelog、2026年6月17日
- Apps that work with Sidekick — Shopify App Store
- Getting help and guidance from Sidekick — Shopify Help Center
- Getting started with Sidekick — Shopify Help Center
掲載アプリ、評価、レビュー件数、料金は2026年9月8日にShopify App Storeで確認しました。
Shopify Magic公式のメディア生成機能は、Shopify Help Centerによれば背景除去・ロゴ生成・ヒーローバナー生成の画像処理にとどまり、動画生成は含まれません。さらにShopifyとは無関係の「Magic: Product Photos & Videos」という名前のアプリが月額19.99〜49.99ドルで存在し、紛らわしい状態です。実在するAI商品動画生成アプリ8本を調査したところ、課金単位はクレジット・動画数・ポイント・1本あたり定額・買い切りパックの5種類に分かれていました。各アプリの最上位プランを実際に生成できる動画1本あたりのコストへ正規化すると、約0.04ドルから約1.29ドルまで、およそ32倍の開きがあります。しかもあるアプリの月額39〜99ドルのプランは、動画の生成数上限を一切公開していません。2026年9月6日調査。