この記事でわかること
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2026年9月1日、Shopify ChangelogにScan and search variants with multiple barcodesが公開されました。Shopify POSが、1つのバリアントに紐づくどのバーコードをスキャンしても正しいバリアントを引ける、という内容です。
Shopify Communityで2021年から繰り返し要望が出ていた機能なので、実店舗を持つマーチャントにとっては大きな更新です。
ただし、告知の最後の1文が問題です。
Additional barcodes must first be associated with the product variant in Shopify Admin.
2026年9月6日時点で、この記事が確認した範囲のShopify公式ドキュメント(告知がリンクするヘルプページ、およびAdmin APIリファレンス)に、その「Shopify管理画面で紐づける」方法は書かれていません。
Changelogが実際に書いていること
告知の内容自体は具体的です。
スタッフはバリアントに紐づくいずれかのバーコードでスキャンまたは検索でき、対象にはGTIN、EAN、ASIN、SKUベースのコードが含まれます。どのバーコードを使っても、Shopify POSは正しいバリアントを表示します。
適用範囲も明記されています。Shopify POS v11.14で自動的に利用可能になる、という書き方です。ユーザーが有効化する設定項目ではありません。
想定シーンは、仕入先・チャネル・パッケージ形態ごとにラベルが違う商品です。同じ商品を2社から仕入れていて、片方はEAN、もう片方は独自コードを貼っている、といったケースが該当します。AmazonのFBA向けFNSKUラベルが貼られた在庫を実店舗でも売る場合も同じです。
POSのヘルプページは更新済み
Shopify Help CenterのSearching for products in Shopify POSは、この変更を反映済みです。
A variant can have more than one barcode, such as codes from different suppliers or a Global Trade Item Number (GTIN), and you can scan any of these barcodes to find the product.
さらに、スキャン場所による挙動の違いまで書かれています。
- 検索バーの外でバリアントのバーコードをスキャンすると、そのバリアントに直接マッチする
- 検索バーの中でスキャンすると、まず親商品が検索結果に出て、そこからバリアントを選ぶ
そして最後に、こう続きます。
You can add and manage a variant's barcodes in your Shopify admin.
リンク先は、商品の追加・更新に関する一般的なヘルプページです。
管理画面側のドキュメントは1つのままである
そのリンク先をたどっても、複数バーコードの入力方法は出てきません。
Product details pageのInventoryセクションが列挙しているのは、SKUとBarcode (ISBN, UPC, GTIN, etc.) の2つだけです。Barcodeは単数形のフィールドとして説明されています。
Adding variantsも同じです。バリアントごとに設定できる項目として「prices, quantities, SKUs, barcodes, HS codes, country/region of origin, and locations」が挙げられていますが、1バリアントに2つ目のバーコードを追加する手順は書かれていません。
つまり、出口(POSのスキャン)は複数バーコード前提に更新されているのに、入口(管理画面のデータ入力)が単一のままです。
開発者フォーラムでの報告
この違和感は、Shopify Partner側からも指摘されています。
2026年9月3日、Shopify Developer Community ForumsにMulti barcode release?というスレッドが立ちました。投稿者のTommy_Gaudreau氏は、クライアントにとって重要な機能なので確認したところ、と前置きしたうえでこう書いています。
Though there doesn't seem to be anything new in the admin to associate multiple barcode. I was hoping to see something at least in the unstable API, but nothing new in the APIs either.
管理画面にも、unstableを含むAPIにも、複数バーコードを登録する新しい仕組みが見当たらない、という報告です。GraphQL Admin APIのProductVariantが持つbarcodeは、現在も単一の文字列フィールドです。
2026年9月6日時点で、このスレッドに返信は付いていません。
Shopify自身の他ドキュメントとも整合していない
複数バーコードを前提にしていないShopifyの記述は、他にもあります。
Understanding barcodesのベストプラクティスは、いまも次の2点を推奨しています。
- Print unique barcodes for each product variant
- Don't put multiple barcodes on your product.
これは物理的なラベル貼付の話で、データ側の話ではありません。ただし、同じヘルプセンター内で「バリアントは複数のバーコードを持てる」と「商品に複数のバーコードを貼るな」が並んでいる状態です。
Shopifyアプリの在庫スキャナーはもっと明確です。Scan your inventory using the Shopify appの手順は、既にバーコードを持つ商品にスキャンしたコードを割り当てる場合、Replace barcode(置き換え)をタップする、と指示しています。追加ではありません。
同じページのエラー一覧には、Barcode assigned to multiple products(そのバーコードは複数の商品に割り当てられている)が異常系として載っています。
5年近く残っていた要望
需要側の記録も残っています。
Shopify CommunityのCan you use multiple barcodes for the same item in Shopify POS?は2021年12月12日の投稿です。投稿者は「メーカーがバーコードを変えることがあるので、同一商品に最大3つのバーコードを保持したい。多くのPOSシステムはこれができる」と書いています。
このスレッドには2022年、2023年、そして2024年11月6日の「Any news on this functionality?」まで書き込みが続いています。関連スレッドとして、How can I input multiple barcodes for product variants?、Multiple Product Barcodes、Can we add two barcodes to a single variant for retail POS? などが並んでいます。
需要が薄かったから実装されなかった機能ではありません。
代替バーコードを今日扱えるアプリ
管理画面に入力欄が現れるまでの間、代替バーコードを扱う方法は、アプリ側に「エイリアス」として持たせることです。
ここで重要なのは、いずれのアプリも「Shopifyのバリアントレコードに2つ目のバーコードを書き込む」とは公式情報で説明していないという点です。エイリアスはアプリのデータベース側に存在し、そのアプリのスキャン画面で機能します。Shopify POSのレジ画面で有効になる、とも各アプリの公式情報には書かれていません。
用途が「レジでのスキャン」なのか「倉庫でのピッキング検品」なのかで、選択肢が変わります。
EasyScan Inventory & Barcode

出典: Shopify App Store(EasyScan Inventory & Barcode、2026-09-06時点)
EasyScan Inventory & BarcodeはDeveloperが506、Built for Shopifyバッジ付き、2026年9月6日時点の評価は356件で5.0です。Shopify POS、Shopify Flow、Shopify Adminと連携すると記載されています。
代替バーコードに相当する機能はBarcode Aliasesです。公式のSubscription plansページは、この機能を「Manage multiple barcodes for single SKUs」と説明しています。
問題は、どのプランに入っているかです。

出典: Shopify App Store(EasyScan Inventory & Barcode、2026-09-06時点)
プランはBasic $9.99/month、Standard $39.99/month、Advanced $79.99/month、Pro $129.99/monthの4段で、いずれも10日間の無料トライアルと年払い17%割引が付きます。Barcode Aliasesが載っているのは、最上位のPro $129.99/monthだけです。
Basicはバーコード生成とラベル印刷専用で、公式FAQは「スキャンして在庫を更新したりオーダーをフルフィルしたりする場合はStandardが必要」と明記しています。
iPacky | Pick Pack & Fulfill

出典: Shopify App Store(iPacky | Pick Pack & Fulfill、2026-09-06時点)
iPacky | Pick Pack & FulfillはノルウェーのiPackyが開発する、ピッキングと梱包検品のアプリです。2026年9月6日時点の評価は119件で5.0です。
同社のBarcode aliasesページは、前提をはっきり書いています。
Shopify does not have support for a product having more than one barcode.
そのうえで、iPacky側では1商品に複数のバーコードを持たせられ、同一商品を複数の仕入先から仕入れていてバーコードが異なる場合でも、どれをスキャンしても受け付ける、と説明しています。「Shopifyの商品を開いてバーコードを変更しに行く必要がなくなる」という書き方からも、エイリアスがiPacky側に存在することが読み取れます。
課金単位はEasyScanとまったく違います。
- Starter: 無料。ただし月50件のショップオーダーが上限
- Standard: $19.99/month に加えて、処理オーダー数に応じた従量課金。最初の500件は1件$0.099、次の2,000件は$0.08、次の2,500件は$0.055、5,000件超は$0.039
なお、Barcode aliasesがどのプランから使えるかは、App Storeリスティングにも公式ページにも明記されていません。
syncX: Easy SKU & Barcode Scan

出典: Shopify App Store(syncX: Easy SKU & Barcode Scan、2026-09-06時点)
syncX: Easy SKU & Barcode Scanは、バーコードまたはSKUで在庫を増減・設定し、ロケーション間で在庫を移動できるアプリです。2026年9月6日時点の評価は55件で3.7です。
このアプリにバーコードエイリアスに相当する機能は記載されていません。 ここで挙げる理由は、課金単位が3つの中で最も安く、かつまったく別の基準だからです。
- Free plan: 200 inventory update
- Basic plan: $5/month、100,000 inventory update
- Pro plan: $10/month、Basicに加えて300,000 order creation
- Pro X plan: $20/month、Proに加えて商品詳細のインポート
月額の絶対値だけを見て「安いほうでいい」と判断すると、必要な機能が入っていません。
比較
| 項目 | EasyScan Inventory & Barcode | iPacky | syncX: Easy SKU & Barcode Scan |
|---|---|---|---|
| 代替バーコード | Barcode Aliases | 複数バーコード対応 | 記載なし |
| 必要プラン | Pro $129.99/month | 公式情報に記載なし | ― |
| 最低料金 | $9.99/month | Free(月50オーダーまで) | Free(200更新まで) |
| 課金単位 | 月額固定・機能でプラン分け | 月額 + 処理オーダー数の従量 | 月額 + 在庫更新回数 |
| 無料トライアル | 10日 | 14日 | 14日 |
| Built for Shopify | あり | なし | なし |
| 評価(件数) | 5.0(356) | 5.0(119) | 3.7(55) |
月間オーダー数で逆転する
EasyScanのPro $129.99/monthは固定額です。iPackyのStandardは$19.99/monthに従量が乗ります。公開されている料率で計算すると、次のようになります。
- 月500オーダー: iPacky = $19.99 + 500 × $0.099 = $69.49
- 月1,000オーダー: $19.99 + $49.50 + 500 × $0.08 = $109.49
- 月2,000オーダー: $19.99 + $49.50 + 1,500 × $0.08 = $189.49
EasyScan Proの$129.99を超えるのは、月およそ1,250オーダー付近です。それ以下ならiPackyのほうが安く、それ以上ならEasyScanの固定額が有利になります。
ただし、比較しているのは同じものではありません。iPackyの従量はストアのオーダー数に連動し、EasyScanの$129.99にはUnlimited User AccountsやUser Analyticsも含まれています。オーダー数だけで決めず、必要な機能とセットで見てください。
どう判断するか
Shopify POSのレジでのスキャンだけが目的なら、まず実機を確認する。 POS v11.14以降であれば、Shopifyの説明上は追加バーコードでのスキャンが有効です。ただし2026年9月6日時点では、その追加バーコードを管理画面から登録する手順が公開されていません。段階的なロールアウトの可能性があるため、自ストアの管理画面でBarcodeフィールドの周辺に変化がないかを確認するのが先です。
倉庫でのピッキング検品が目的なら、アプリを検討する意味がある。 POSの更新は店頭スキャンの話であり、出荷前の検品フローとは別です。月間オーダー数が1,250件を下回るならiPacky、それ以上でユーザー数も多いならEasyScanのPro、という判断になります。
バーコードとラベルを作るだけなら、どちらも不要。 バーコード生成とラベル印刷だけが目的なら、より安いプランや無料アプリで足ります。エイリアス機能のために$129.99/monthを払う必要はありません。
アプリ側のエイリアスは、Shopifyのデータではない。 EasyScanもiPackyも、代替バーコードをProductVariantのbarcodeフィールドに書き戻すとは公式情報に書いていません。つまりそのコードは、Shopify POS、Shopifyアプリの在庫スキャナー、Admin API、外部の3PLやWMS連携からは見えない前提で設計してください。アプリをアンインストールすれば、その対応表も一緒に失われる前提で考えるのが安全です。
いま確認しておくこと
2026年9月6日時点の状況は、次の3行にまとまります。
- Shopify POS v11.14は、バリアントに紐づく複数のバーコードでスキャンできると公式に案内されている
- その追加バーコードをShopify管理画面で登録する方法は、告知がリンクするヘルプページには見当たらず、上記のパートナー報告によればunstableを含むAPIにも見当たらない
- その間、代替バーコードを実運用で扱うにはアプリ側のエイリアス機能が必要で、EasyScanでは月額129.99ドルのプランに入っている
管理画面に入力欄が現れた時点で、アプリ側のエイリアスをShopifyのバリアントレコードへ移行するかどうかを、あらためて判断することになります。移行するなら、アプリのエイリアス一覧をCSVなどで書き出せるかを、契約前に確認しておくと安全です。
参考
- Scan and search variants with multiple barcodes - Shopify Changelog
- Searching for products in Shopify POS - Shopify Help Center
- Product details page - Shopify Help Center
- Adding variants - Shopify Help Center
- Understanding barcodes - Shopify Help Center
- Scan your inventory using the Shopify app - Shopify Help Center
- Multi barcode release? - Shopify Developer Community Forums
- Can you use multiple barcodes for the same item in Shopify POS? - Shopify Community
- EasyScan Subscription plans
- iPacky Barcode aliases
Hextom: Free Shipping BarがShopify App Storeから姿を消しています。Shopify標準のアナウンスバーでできること・できないことを整理したうえで、2026年9月時点で実際に確認した後継5アプリの料金・機能・制約を比較しました。