この記事でわかること
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「Shopifyへの移行方法」を扱う記事のほとんどは、冒頭でアプリを勧めます。Shopify自身のMigrate to Shopifyはもっと役に立つことをしています。6種類のデータについて、実際に存在する一括移行手段を行ごとに並べた表を載せているのです。
CSVの経路があるのは2行だけです。残りの4行にはありません。
判断はこの表でほぼ終わります。カタログと顧客リストを移すだけなら標準機能で足り、アプリは時短のための選択肢にすぎません。注文履歴・ギフトカード・ブログ・ページを移すなら、Shopify自身のドキュメントが「一括手段は移行アプリかAdmin API」と書いています。管理画面に取り込み画面は用意されていません。
この記事はまずその表を読み、次に実際に候補になる4手段の料金を検証します。機能一覧は大きく重なります。重ならないのは課金の分母で、そのため表示価格は比較可能な数字になっていません。
先に結論
- Shopifyの移行表で商品と顧客にはCSV取り込みの経路がある。過去の注文・ギフトカード・ブログ・ページの4行には移行アプリとAPIしか記載がない。
- Shopify Store Migration はShopify製で無料、対応元は8プラットフォーム。ただしApp Storeの説明文は「product and customer data」を移すアプリだと書いており、評価は74件で3.1。
- Matrixify は $20 / $50 / $200(30日ごと)。上限は月間ではなくジョブごとに適用される。移行が終わったら解約すれば、支払いは1回で済む。
- LitExtension Store Migration と Cart2Cart は月額ではなく実行1回の課金で、分母はエンティティ数。LitExtensionは $59からで、セルフサービス側ではSEO URL移行と301リダイレクトが有料オプション。
- Cart2Cartは料金表を公開していない。価格は見積もり計算機の中にしか存在しない。
- Shopifyのバリエーション投入レート上限はどのアプリでも引き上げられない。しかも多くのガイドが引用している数値は、現在のヘルプセンターの記載と1桁違う。
- 過去の注文を取り込むと、新規注文通知を受け取る設定のスタッフ全員に、注文1件ごとにメールが飛ぶ。
Shopifyの表に実際に書かれていること
見るべき列は「Bulk migration options」です。内容は次のとおりです。
| データ | Shopifyが挙げている一括手段 |
|---|---|
| Products | 商品CSVのimport/export、migration apps |
| Customers | 顧客CSVのimport/export、migration apps、Customer API |
| Historical orders | migration apps、Order API、Transaction API |
| Gift cards, certificates, store credits | migration apps、GiftCard API |
| Blogs | migration apps、Blog API、Blog Article API |
| Pages | migration apps、Page API |
下4行が、費用が発生するかどうかを決めます。管理画面に注文のCSVインポーターはなく、ギフトカードのインポーターもなく、ブログのインポーターもありません。4つともShopifyの答えは「アプリかコード」です。
これはCSVエクスポートで出せるものと戻せるものが一致しない件で確認した境界線と同じものです。Shopifyから出せるCSVの一覧と、Shopifyへ戻せるCSVの一覧は別物です。
同じページには、多くのガイドが飛ばす順序の制約も書かれています。商品 → 顧客 → 過去の注文の順で取り込みます。逆順にすると、注文が正しいレコードに紐づきません。
Shopify Store Migration:無料、8プラットフォーム、商品と顧客

出典: Shopify App Store(Shopify Store Migration、2026-09-07時点)
Shopify Store MigrationはShopify自身が公開しているアプリで、2024年7月17日にリリースされ、料金は無料です。対応元はリスティングに明記されています。Square、WooCommerce、Etsy、Wix、Amazon、eBay、Clover、Lightspeed R/X(Vend) の8つ。旧プラットフォームのCSVをアップロードするか、対応プラットフォームならアカウント接続でガイド付き取り込みができます。
リスティングで注意深く読むべき箇所が2つあります。
1つ目は範囲の記述です。Shopifyはこのアプリを「your product and customer data」を移すものだと説明しています。つまり、すでにCSVの経路がある2行です。続けて自ら但し書きも置いています。
some platforms don't export all data or use compatible formats, so small edits in Shopify may be required.
2つ目はData accessの欄です。このアプリが要求している注文権限は "All order history for the last 60 days" です。過去60日という窓であって、履歴インポーターではありません。
評価は2026年9月7日時点で74件の3.1、うち20件が星1です。最近の星1レビューは抽象的ではなく具体的です。ある米国マーチャントはeBayからの取り込みについて「only transferred the titles. No images, descriptions, or prices.」と書いています。Squareから移行した別のレビューは「Import CSV doesn't grab inventory.」と報告しています。いずれも個別の報告として読むべきですが、アプリ自身の但し書きと整合的です。
現実的な読み方はこうです。対応元8つのどれかで、移すのが商品と顧客だけなら、まずここから試す価値があります。試すこと自体は無料です。うまくいかなくても失うのは半日で、$59ではありません。
Matrixify:月額だが、上限はジョブごと

出典: Shopify App Store(Matrixify、2026-09-07時点)
Matrixifyは開発元ITissible、2017年7月7日リリース、Built for Shopifyバッジ付き、評価は1,595件で4.9です。4手段のうち、Shopify経由でサブスクリプション課金される唯一のものです。
料金ページはエンティティごとの上限を数値で公開しています。
| ジョブごとの上限 | Demo(無料) | Basic($20 / 30日) | Big($50 / 30日) | Enterprise($200 / 30日) |
|---|---|---|---|---|
| Products | 10 | 5,000 | 50,000 | 無制限 |
| Customers | 10 | 2,000 | 20,000 | 無制限 |
| Orders | 10 | 1,000 | 10,000 | 無制限 |
| Pages | 10 | 50 | 500 | 無制限 |
| Blog Posts | 10 | 50 | 500 | 無制限 |
| Redirects | 10 | 10,000 | 100,000 | 無制限 |
| Collections | 10 | 600 | 6,000 | 無制限 |
計算を変えるのは同じページの次の一文です。
Limits listed above apply on each import/export individually, there are no total or monthly imported item limits
つまりBasicで6,000件の注文を移すのは、$50へのアップグレードではありません。$20のまま1,000件×6ジョブです。その手間を許容するかは判断ですが、エンティティ数課金の2サービスにはそもそも存在しない選択肢です。
注意点が2つあります。Redirectsの枠はBasicで10,000と潤沢です。移行では必ずURL構造が変わり、Shopifyのリダイレクト取り込みはCSVを受け付けるので、ここは効きます。一方で Blog PostsとPagesはBasicでジョブあたり50件 です。記事400本のストアなら8ジョブに分けるか、$50を払うことになります。Matrixifyの日常的な一括編集の挙動はShopifyのCSV編集の限界を扱った記事で別途整理しています。この記事は移行の用途だけを見ています。
LitExtension Store Migration:1回課金、分母はエンティティ数

出典: Shopify App Store(LitExtension Store Migration、2026-09-07時点)
LitExtension Store Migrationは2019年11月27日リリース、Built for Shopifyバッジ付き、評価は318件で4.8です。App Storeの価格表示は「Free to install. Additional charges may apply.」で、これは課金がShopify側ではなくLitExtension側で発生するためです。
料金ページはモデルを明示しています。価格は「starts from $59 and depends on the number of entities you want to migrate」で、エンティティは products + orders + customers + blog posts です。FAQは、これらがサブスクリプションではなく1回きりの購入であることを確認しています。
プランは2種類です。3ステップのウィザードを自分で回す Automated Migration と、担当者が付いて自社のQAテストまで行う All-in-One Migration Service です。
$59と$20を比べる前に読むべき一文は、LitExtension自身のFAQにあります。Automated側では「certain additional options such as Customer Password Migration, SEO URLs Migration, and 301 Redirect」に追加費用がかかると書かれています。移行後のRe-migration、Recent Migration、Smart Updateも「may require extra fees」です。比較表ではAutomated側にも「FREE up to 6 Additional Options(Save $50–$150)」の記載があるため一部は含まれますが、全オプションが含まれるのはAll-in-One側です。
言い換えると、移行が守るべきもの——検索順位と、顧客がログインできる状態——が、安い側ではオプションとして値付けされています。なお両プランとも、無制限の無料デモ移行、60日間の技術サポート、30日間の返金保証が付きます。
支払い手段はPayPal、Skrill、送金、暗号資産などで、Shopifyの請求書には載りません。
Cart2Cart:1回課金、ただし価格は見積もり画面の中にしかない

出典: Shopify App Store(Cart2Cart Migration/Replatform、2026-09-07時点)
Cart2Cart Migration/Replatformは4つの中で最も古く、2014年11月12日リリース、開発元はサンディエゴのCart2Cartです。評価は169件で4.1。内訳は星5が129件(76%)、星1が30件(18%)で、この分布自体が読みどころです。Built for Shopifyバッジは付いていません。
リスティングは 80+ platforms(自社サイトでは85+)を掲げ、Magento、PrestaShop、OpenCart、Volusion、Shopwareを名指ししています。Shopify純正アプリでも素のCSV運用でも扱えない旧世代プラットフォーム群です。ただしLitExtensionはこれより大きい数を掲げています。どちらもベンダー側の主張として扱い、自分の移行元が対応表にあるかを各サイトで確認してください。
App Storeのページで、別料金の項目としてではなく機能として書かれているものが2つあります。SEOデータとURLの移行(「with 301 redirects to help preserve search rankings」)と、新規の注文・顧客だけを追加で引くRecent Data Migrationです。後者があるので、移行中も旧ストアで販売を続けられます。ただし同じリスティングに価格は「selected migration options」でも変わると書かれているため、リダイレクトが自分の見積もりに含まれるかは計算機で確認が必要です。
App Storeのdata access要求は4つの中で最も広く、all order history(60日ではありません)、gift cards、companies、Online Storeのページ、files、translations、locales、price rulesが含まれます。移行対象として掲げている範囲とは整合しますが、承認前に理解しておくべき内容です。考え方はアプリのデータアクセス権限を扱った記事と同じです。
他と決定的に違うのは価格です。App Storeの記載は「additional fees apply based on store size, entities migrated, and selected migration options」だけ。料金ページにも表はなく、あるのは計算機です。2026年9月7日時点では、自分のストアで見積もりを実行しない限り、LitExtensionの$59という下限と比較できる数字が存在しません。
4手段、4種類の課金の分母
| Shopify Store Migration | Matrixify | LitExtension Store Migration | Cart2Cart | |
|---|---|---|---|---|
| 開発元 | Shopify | ITissible | LitExtension | Cart2Cart |
| 課金の分母 | なし(無料) | 30日ごと、上限はジョブ単位 | 1回、エンティティ数 | 1回、エンティティ数+オプション |
| 入口価格(USD) | $0 | $0(Demo)/$20 | $59から | 見積もりのみ |
| 対応元 | 8つを明記 | ファイル経由で任意 | 140+(ベンダー主張) | 80+(ベンダー主張) |
| 過去の注文 | 直近60日のアクセス権限 | 対応(Basicで1,000件/ジョブ) | 対応(エンティティに算入) | 対応(全注文履歴の権限) |
| ブログ・ページ | 記載なし | 対応(Basicで50件/ジョブ) | Blog postsをエンティティに算入 | Online Storeページが権限に含まれる |
| 301リダイレクト・SEO URL | 記載なし | Redirectsがエンティティ種別の1つ | Automated側は有料オプション | 機能として記載 |
| Built for Shopify | なし | あり | あり | なし |
| 評価(2026-09-07) | 3.1(74) | 4.9(1,595) | 4.8(318) | 4.1(169) |
分母の違いは、2つの想定で具体的になります。
商品2,000件・注文4,000件・ブログ40本のWooCommerceストア。 Matrixify Basicの$20なら、商品は1ジョブ、注文は1,000件×4ジョブ、ブログは50本の枠に収まります。合計$20で、30日後に解約できます。LitExtensionは約6,040エンティティを1回の購入として値付けし、301リダイレクトは無料オプション枠に入らなければ上乗せになります。
商品12,000件・注文60,000件・ブログ800本のMagentoストア。 Shopify純正アプリの対応元にMagentoはありません。Matrixifyは商品量からBig($50)が必要で、ブログ800本はBigでも2ジョブです。LitExtensionとCart2Cartはどちらも大規模な1回の移行として値付けします。
分かれ目は結局、1回払って作業ごと渡すか、$20〜$50を1か月払って自分で回すかです。
どのアプリでも外せない上限と、多くの記事が引用している誤った数値
移行ガイドの多く、そして一部のアプリ公式ドキュメントまでが、Shopifyのバリエーション投入上限を「50,000バリエーション/1日1,000件」として引用しています。
現在のShopifyヘルプセンターAdding variantsの記載は違います。
If you have 500,000 or more variants in your store, then you're subject to a daily rate limit for uploading variants by using an app or CSV file import. You can add up to 10,000 new variants in a day before the limit is reached.
しきい値も1日あたりの許容数も、広く引用されている数字の10倍です。同じページはShopify Plusにはこの上限が適用されないことも明記しています。
実務上は、移行チェックリストに載りがちな心配が1つ減ります。500,000バリエーションを超えるストアはほとんどありません。ただし超えている場合、これはShopify側のレート制限なので、速いアプリに課金しても引き上げられません。
同じページにあるカタログ設計上の上限3つも控えておく価値があります。1商品あたり2,048バリエーション、1商品あたり3オプション、1商品あたり250メディア です。
Shopifyが明記しているのに、移行ガイドが飛ばす3点
注文を取り込むとスタッフにメールが飛ぶ。 ガイドの記載は明確です。過去の注文を移行すると、新規注文通知を受け取る設定のスタッフ(アカウントオーナーを含む)全員に、取り込んだ注文1件ごとに新規注文メールが送られます。取り込み前に新規注文通知を無効化し、完了後に戻します。これを飛ばすと、4,000件の取り込みが4,000通になります。
URLは一致しない。 Shopify自身の例では、旧プラットフォームで example.com/policies/shipping-policy だった配送ポリシーページが、Shopifyでは example.com/pages/shipping-policy になります。ガイドはドメイン移管の前にリダイレクトを用意することを勧めており、Shopifyはリダイレクトのcsv取り込みに対応しています。比較表のリダイレクト行が見た目以上に効くのはこのためで、$0の作業になるか有料オプションになるかの分かれ目です。Shopify側の挙動はURLリダイレクトの上限を扱った記事で詳しく整理しています。
取り込んだ商品が非公開のまま届くことがある。 Shopifyの取り込み後チェックリストは、これをよくあるエラーとして挙げています。取り込み自体は成功しても、販売チャネルへ公開するまで非表示のままです。またバリエーションのオプション値が欠けている商品は、そもそも取り込みに失敗します。
ケース別の選び方
移行元がSquare / WooCommerce / Etsy / Wix / Amazon / eBay / Clover / Lightspeed R/X で、必要なのが商品と顧客だけ。 まずShopify Store Migrationを試します。無料です。特に在庫数と画像は個別に確認してください。最近の星1レビューが名指ししているのはその2つです。
表計算が苦にならず、費用を最小にしたい。 Matrixify Basicの30日$20です。上限がジョブ単位なので、量の問題はプラン変更ではなくファイル分割で解けます。お金より時間を使う選択です。
注文履歴・ギフトカード・実運用中のブログがあり、1回で終わらせたい。 LitExtensionの$59〜です。比較する前に、SEO URLsと301 Redirectのオプション費用を見積もりに入れてください。Automated側では自動的に無料にはなりません。
移行元がMagento / PrestaShop / OpenCart / Volusion / Shopware。 Shopify純正アプリの対応元にはどれもありません。LitExtensionとCart2Cartはいずれも名指しで対応を掲げています。Cart2Cartは最も歴史が長く、App Storeのdata accessが全注文履歴・ギフトカード・Online Storeページまで含んでいる側です。高いと決めつける前に計算機を回し、承認前にその権限要求を読んでください。
Shopify Plusを使っている。 バリエーションのレート上限は適用されません。エンティティ数課金の2社はいずれもQA込みの代行移行を販売しており、社内工数まで数えると結局そちらが安くなることが多いです。
どれを選ぶにしても、本番前に開発ストアで試してください。Shopify Store Migrationはそもそも無料、MatrixifyのDemoプランはジョブあたり10件、LitExtensionとCart2Cartはどちらも無料のデモ移行を用意しています。
参考にした一次情報
- Migrate to Shopify — Shopify Help Center
- Adding variants — Shopify Help Center
- Shopify Store Migration — Shopify App Store
- Matrixify — Shopify App Store
- Matrixify pricing
- LitExtension Store Migration — Shopify App Store
- LitExtension migration pricing
- Cart2Cart Migration/Replatform — Shopify App Store
- Cart2Cart migration pricing
料金・評価・レビュー件数はすべて、2026年9月7日にShopify App Store(en-US表示)と各社の公式ページで確認した値です。App Storeの評価は継続的に変動するため、導入判断の前にリスティングを確認してください。
2026年6月17日、Shopifyは期限を公表しました。2026年12月1日以降、購入者向けセルフサービスを提供するReturns and exchangesアプリとSubscriptionアプリは、Customer Account APIで顧客を認証しなければならず、満たさない場合はBuilt for Shopifyステータスを失うリスクがあります。問題は、強制力がこのバッジしかないことです。2026年9月7日に両カテゴリーの主要アプリをすべて確認したところ、マーチャントが最も使っている側——Recharge、Skio、Loop Subscriptions、Loop Returns、Return Prime、ReturnGO、Redo——にバッジがありませんでした。さらにRechargeの公式ドキュメントは、同社のpasswordless loginがlegacy customer accounts必須だと明記しています。legacy customer accountsは2026年2月26日に非推奨になったものです。誰が実際に変更を迫られるのか、購読者と返品客の画面は何が変わるのか、すでに壊れている組み合わせは何かを整理しました。調査日は2026年9月7日です。