この記事でわかること
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「best Shopify wholesale apps」の類のまとめ記事を開いて、「Shopifyには卸の申込フォームが標準にない」という一文が何段落目に出てくるか数えてみてください。だいたい1段落目、冒頭の一行目のこともあります。
2026年9月3日時点で、この一文は誤りです。
Shopifyにはcompany account requestsという機能があり、無料のShopify Formsを土台にしています。見込み客がストアフロントのフォームを送信すると、管理画面にcompany、company location、customerが自動で作成されます。作成されたcompanyはCustomers → Companiesの Ordering not approved タブに入り、Shopify自身の表現では「can't place orders in your online store or access B2B pricing until you approve them」という状態に置かれます。1件ずつ見たくなければ、Shopify Flowのテンプレートで自動承認もできます。
つまり申込フォームも承認キューも標準にあります。アプリが要る差分は実在しますが、このカテゴリの宣伝文句が示唆するよりずっと狭く、3か所に限られます。
無料の標準ルートでできること
Shopify Formsを入れ、ポップアップかインラインのフォームに「Company and customer」のフィールドグループを追加します。company自動作成に必須なのは会社名とメールアドレスだけ。回答の保存先はmetaobject内のlocal fields、customer metafields、company metafieldsの3通りで、項目の型には20 MBまでのファイルアップロードもあります。米国のresale certificateを標準機能だけで受け取ることは可能です。Shopifyが検証しないだけです。
承認は既定で手動です。companyを開き、Manage permissionsからロケーションを選んで権限を割り当て、必要なら「Notify customer that they can start placing B2B orders」にチェックを入れます。自動承認用のFlowテンプレートは「Allow ordering for companies created by company account requests」という名前です。
ここまでShopify Plusは不要です。Shopify B2BはBasic・Grow・Advanced・Plusで動き、一部の機能だけがPlus限定で残っています。詳細はShopify B2Bが動くプランとPlus限定で残った機能で扱いました。
標準フォームが本当に壊れる3か所
既存のcompanyに買い手を追加できない。 Shopifyのドキュメントに「This feature doesn't allow customers to be added to an existing company」とあります。提出のたびに新しいcompanyが作られるので、すでに取引のある会社の2人目が申し込むと重複が生まれます。
却下は削除を意味する。 「To reject an application, delete the company」。却下済みもアーカイブも、「追加情報をください」の状態もありません。監査証跡として残したいレコードを、自分で消すことになります。
B2B専用にゲートした店では使えない。 「You can't use company account requests when you have a dedicated store that is gated and available only to B2B customers」。Online Store → Preferences → Store access → 「Restrict access to B2B customers only」を有効にすると、見込み客はフォームに到達できません。回避策のゲート解除+B2Bコンテキストのテーマカスタマイズによる価格非表示は、AdvancedとPlusに限定されています。
軽い制約が2つ。提出内容は何も検証されません。承認後の買い手が同僚を招待したりcompany locationを追加したりする標準の手段もありません。
どれにも当てはまらないなら――公開ストアフロント、常に新規company、手動レビュー、検証なし――そのままフォームを作ってください。以下の有料アプリは$19/月からです。
このカテゴリを実際に仕分ける問い
以下のアプリはどれも「wholesale registration and approval」を謳いますが、中身は構造的に2種類に分かれます。そのアプリはShopify B2Bの Company を本当に作るのか、通常のcustomerにタグを付けて割引で卸を模倣するだけなのか。
ネイティブの Company なら、買い手はB2B catalogs、price lists、payment terms、B2B checkoutというShopify自身の仕組みを得ます。タグ付きのcustomerなら、D2Cストアの上に並行する卸システムを載せることになり、その価格はアプリが存在する間しか成立しません。
これはインストール前に確認できます。App Storeのリスティングには必ず Data access のセクションがあり、本物の Company を書き込むアプリは Edit companies — Companies スコープを要求しているはずです。無ければ作れません。ただし十分条件ではないので説明文も読んでください。今回の中に、スコープは持つのにcompany作成を明言しないアプリが1本あります。
注意点も添えます。Shopify Forms自身のData accessにcompaniesスコープは表示されませんが、その提出はcompanyを作ります。ファーストパーティは同じ開示ルールに縛られません。このスコープ判定が有効なのはサードパーティのアプリに対してだけです。
| アプリ | Edit companies スコープ | ネイティブ Company 作成の明記 | 判定 |
|---|---|---|---|
| Onboard B2B: Company Profiles | あり | あり | ネイティブ Company |
| B2B Onboard | あり | あり | ネイティブ Company |
| B2B Registration & Approval | あり | あり(新規作成 または既存への紐付け) | ネイティブ Company |
| B2B Portal: Account & Approval | あり | 「company account access」止まりで明言なし | 記載なし |
| ZS B2B Gateway | あり | 「B2B Companies support」は$129/月プランに記載 | $129/月プランのみネイティブ |
| Helium Customer Fields | なし | customerを承認し、タグとmetafieldsを付与 | customer/タグ階層 |
| Wholesale Gorilla | なし | price rulesとcustomer tags | タグ/割引階層 |
| Shopify Forms(ファーストパーティ) | 非表示 | ヘルプセンター: 提出でcompany・location・customerを作成 | ネイティブ、無料 |
サードパーティのうち4本がネイティブ側に着地します。勝者が1本決まる話ではなく、カテゴリが割れているという話です。
料金、無料プラン、そして疑ってかかるべきレビュー母数
| アプリ | 最低料金 | 無料プラン | 無料体験 | 申込件数の上限 | 評価(件数) |
|---|---|---|---|---|---|
| Onboard B2B: Company Profiles | $50/月 | なし | 14日 | 記載なし | 5.0(13件) |
| B2B Onboard | $0 | あり(1フォーム、月10件) | 14日 | 10 / 50 / 250 / 無制限 | 5.0(1件) |
| B2B Registration & Approval | $19/月 | なし | 7日 | 記載なし | 5.0(2件) |
| B2B Portal: Account & Approval | $19/月 | なし | 14日 | 全プラン無制限 | 0.0(0件) |
| ZS B2B Gateway | $0 | あり(月5件) | 記載なし | 5 / 50 / 無制限 | 5.0(1件) |
| Helium Customer Fields | $15/月 | なし | 14日 | 記載なし | 4.5(314件) |
| Wholesale Gorilla | $34.95/月 | なし | 21日 | 記載なし | 4.7(305件) |
料金はすべて英語(米国)のApp Storeリスティングで2026年9月3日に確認した値で、いずれもUSD建てで請求されます。
料金より先にレビューの列を読んでください。この7本のうち4本はレビューが13件以下で、1本は0件です。 1件から出た「5.0」は評価ではなく、誰か1人の最初の1週間です。B2B Registration & Approvalの2件は、利用開始から約1時間・約2時間の店舗によるものです。パターンとして読める母数を持つのはHelium Customer FieldsとWholesale Gorillaですが、どちらも Company を作りません。
Onboard B2B: Company Profiles

出典: Shopify App Storeリスティング(2026年9月3日取得)
開発元はワシントン州Gig HarborのHelium。今回でBuilt for Shopifyバッジが付くのはこのアプリで、他の6本には付いていません。条件分岐付きのcompany申込フォーム、「including revisions」と明記された承認(標準にない差し戻しの状態)、location adminがロケーションを追加しチームを招待できるセルフ管理ポータルを備えます。最後のものに標準の代替はありません。料金は$50/月(Basic)、$150/月(Plus、company単位のカタログ割り当てとdeposit requirementsを追加)、$300/月(Premium)。年払い17%オフ、無料プランなし。その2機能が$150側なのは、Shopify本体でPlus限定だからです。
先に確認すべき制約があります。Heliumのセットアップガイドには、company申込フォームまたはストアフロントのB2B専用ロックを使うならShopify標準のB2Bアクセス制御設定のチェックを外す必要がある、とあります。$50/月の判断材料としてレビュー13件は薄い母数です。
B2B Onboard

出典: Shopify App Storeリスティング(2026年9月3日取得)
プラン要件について珍しく明快です。買い手が申し込み、承認するとネイティブのB2B companyが作られ、Plusは不要と書かれています。仕組みまで公開しており、価格の経路は「a B2B catalog on Shopify Plus, or adding the company's location to your Default B2B market on Basic, Grow, and Advanced」とされています。
Freeは1フォーム・月10件で「Powered by」バッジ付き。Starterが$14.99/月(3フォーム、50件)、Growthが$29.99(10フォーム、250件、自動承認ルールとAIによるresale certificateレビュー)、Proが$49.99(無制限)。上限超過分は保留され古い順に解放されます。App Proxyで動くためテーマにコードは入りません。天秤にかけるべき点が2つ。データはAWS eu-central-1(フランクフルト)に保存され、監査ログはデンマークの記帳法に基づき7年保持されます。レビューは1件、利用約2か月の米国店舗によるものです。
B2B Registration & Approval

出典: Shopify App Storeリスティング(2026年9月3日取得)
開発元はオランダBarneveldのNew craft。単一プランで$19/月、年払いなら$150で34%オフと今回で最大の年割。7日間の無料体験、無料プランなし。売りは前述の1つ目の穴そのもので、承認時に新しいShopify companyを作るか、既存のcompanyに買い手を紐付けるかを選べます。承認後のワークフローで、アクセス権、カタログ、payment terms、税設定、タグ、メールをまとめて適用します。
引き換えになる点。レビューは2件。Edit discounts や決済・チェックアウト検証のShopify Functionsを含む広いスコープを要求します。「VAT checks」が実在レジストリの照会なのか形式チェックかは記載がありません。
B2B Portal: Account & Approval
開発元はデュッセルドルフのPixelsafari。料金はShopifyのプランに対応し、$19(Basic)、$49(Grow)、$59(Advanced)、$129(Plus)、開発ストアは無料、company登録件数は全プラン無制限です。多段フォーム、却下と差し戻しの状態、買い手のセルフサービス、注文承認ルーティング(チェックアウト完了前に個別注文を保留してレビューする機能)を備えます。最後の機能には無料の部分的な代替があり、company locationを「チェックアウトではdraft orderのみ許可」に設定すれば近いことができます。
大きな注意が2つ。レビューは0件です。 そして Edit companies スコープは持つものの、説明文は「company account access」までで、ネイティブ Company を作るとは書いていません。判定軸では「記載なし」です。
ZS B2B Gateway

出典: Shopify App Storeリスティング(2026年9月3日取得)
タグ方式と Company 方式の分岐を自社の料金表で見せてくれるので、教材として有用です。Freeは月5件。$19のStarterで自動タグ付け、セグメント同期、Shopify Discountsへ同期されるタグベースの割引ルール。$49のProで一括承認キューと価格表示ルール。そして B2B Companies supportとネイティブのカタログ割り当ては$129/月のPlusプランに入っています――Starterの6.8倍です。それ未満はタグと割引のモデルになります。レビューは1件、利用3日の店舗。2026年6月ローンチです。
Helium Customer Fields

出典: Shopify App Storeリスティング(2026年9月3日取得)
カスタム登録フォームの老舗で、314件で4.5、2015年から提供、米国拠点です。Data accessにcompaniesスコープはありません。承認するのは customer で、タグとmetafieldsが付きます。HeliumがOnboard B2Bを別アプリとして出しているのは、これらが別物だからです。
料金の落とし穴があります。Basicは$15/月、Proは$30ですが、Account Approvalは$60/月のAdvancedプランです。「$15」とOnboard B2Bの「$50」を比べている人は、比べるプランを間違えています。VATやtax IDは項目として収集するだけで検証はしません。レビューではサポートの反応の速さとcustomer metafieldsへのきれいなマッピングが繰り返し評価される一方、$60ティアでの導入の手間は個別の最近のレビューに言及があり、ある米国の店舗は「Way more coding than I anticipated」と書いています。
Wholesale Gorilla

出典: Shopify App Storeリスティング(2026年9月3日取得)
ノースカロライナ州Asheville発の成熟した卸価格スイートで、305件で4.7、2018年から提供、無料体験は今回最長の21日です。ストア・コレクション・商品・バリエーション単位の価格ルール、net terms、配送ルール、注文上限、数量割引、クイックオーダーフォームを備えます。Liteが$34.95/月、Advancedが$69.95、Premiumが$149.95。
companiesスコープは持たないため、承認された買い手が得るのはタグと価格ルールで、B2B catalogsやprice lists、B2B checkoutではありません。登録フォームは提供元自身のプラン分けからも副次的で、$34.95では「basic」、$149.95で「customizable」です。加えてOnline Storeのページ、テーマ、チェックアウトページを編集するため、App Proxy方式とはアンインストール時のリスクの性質が違います。評価分布には尾があり、5つ星が86%である一方で1つ星が12件、その中には4年以上使う店舗による2026年8月の指摘(AI主体のサポートと繰り返すチェックアウト障害)も含まれます。
米国のEIN・resale certificateを検証するアプリは無い
レジストリ照会型の検証は存在しますが、米国向けではありません。B2B OnboardはEUのVATをVIES、英国のVATをHMRC、オーストラリアのABNをABR、ニュージーランドのNZBN、ノルウェーの組織番号をBrønnøysundregistreneで照会します。カナダのGST/HSTは形式チェックのみです。
米国のresale certificateについては、同じアプリがAI支援のOCRで会社名・tax ID・発行州・有効期限の不一致をフラグし、州ごとの免税を適用し、証明書が失効すれば免税を自動的に解除します。提供元自身の言葉では、これはdecision-supportであり「A flag means 'take a closer look,' not 'deny.'」です。
それ以外は標準のShopify Formsと同じくファイルとして受け取るだけで、何も検証しません。「アプリが免税資格を検証してくれている」という前提でコンプライアンスを組んでいるなら、その前提は成立していません。本記事は税務助言ではありません。
アンインストール後に残るもの
company、company location、customerはShopify自身のオブジェクトなので、作成したアプリを削除しても残ります。MentileadはB2B Onboardについて、承認プロセスで作成されたShopifyのcustomer accountはアンインストールの影響を受けないと明記しています。他のネイティブ Company 系アプリは挙動を文書化しておらず、構造上そうなるはずという推論にとどまります。一方、Helium Customer FieldsやWholesale Gorillaをアンインストールすると、タグとmetafieldsは残るのに、それを前提に動いていた価格ロジックは止まります。アカウントは残り、卸価格は残りません。
この順で判断する
- 公開ストアフロントで、申込は常に新規company、手動レビューで足りるか。 足りるなら標準フォームを作ってください。$0です。件数が増えたらFlowの自動承認テンプレートを足します。
- 既存companyの買い手を登録したいか。 標準ではできません。B2B Registration & Approvalが新規作成・既存紐付けの両方を明記していて$19/月です。
- B2B専用にストアをゲートしているか。 company account requestsは使えず、ゲート解除+B2Bコンテキストのテーマ編集にはAdvancedかPlusが要ります。Onboard B2Bのフォームとロックも、Shopify標準のゲート設定をオフにすることを要求します。
- レコードを消さずに却下したいか。 ネイティブ
Company系の4本はいずれも何らかの形で対応し、標準機能は対応しません。 - 卸の需要を試したい、または米国のresale certificateを扱うか。 B2B Onboardの無料プランは月10件をネイティブcompany付きで処理し、有料プランでは州ごとの免税と失効時の自動解除が加わります(decision-supportとして扱ってください)。ZS B2B Gatewayの無料プランは月5件をタグ方式で処理します。
- ネイティブのShopify B2Bを使っておらず、D2Cストアに卸価格だけ足したいか。 Wholesale Gorilla、またはHelium Customer Fieldsの$60ティアです。B2B catalogsもB2B checkoutも無く、アンインストールで価格が止まる前提になります。
注文の前に価格交渉が入る商売なら、隣接する判断は登録ではなく見積です。Shopifyで見積依頼を受けるdraft ordersとRFQアプリを参照してください。
参考にした一次情報
- Shopify Help Center: B2B on Shopify、Company account requests、B2B features by plan、B2B features、B2B customer login and accounts
- shopify.dev:
companyCreatemutation、Start building B2B - 提供元のドキュメント: Onboard B2B setup guide、B2B Onboard FAQ
- 記事中で言及した各アプリのShopify App Storeリスティング、料金タブ、Data accessセクション、公開レビュー(2026年9月3日取得)
Shopify Flowは有料プランなら無料で商品タグの追加と削除ができますが、Get product dataアクションが1回の実行で返すのは最大100件で、既存カタログへの一括付与はスケジュール実行のループになります。Flowには汎用のProduct updatedトリガーが無いため、商品タイプや販売元や価格を編集した後にタグを付け直すことは構造的にできません。Shopify Magicは商品カテゴリーの提案とカテゴリーメタフィールドの入力を行いますが、商品タグの生成は公開されている機能一覧に含まれていません。比較した6アプリは課金の単位がまったく異なり、Leap Auto Tagsは$8で月2,000件の枠に対してタグの追加も削除も1件として数え、FilterTagは$9から$59で月500件から50,000件の生成タグ、TAGit AIは生成タグ1件あたり3〜9セント、Heliumは100商品ごとに$9.99の買い切りです。MechanicとMatrixifyは$16から$199、$20から$200の定額で、タグ単位の従量課金はありません。表示価格を見る前に分母を確かめてください。調査日は2026年9月3日です。