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アプリ比較

Shopify向けAI音声エージェント5本を同じ通話量で試算すると169ドル〜499ドル。そしてShopifyには「電話をかけてよい」という同意項目が存在しない

Shopifyのチェックアウト設定にある「Marketing opt-in」セクションが用意しているチャネルは、Email、SMS、WhatsAppの3つです。電話の項目はなく、顧客レコードにも通話同意の記録は存在しません。これが効いてくるのは、このカテゴリーで最も勢いのある訴求が「カート離脱した買い物客にAIが電話をかける」だからです。FCCは2024年2月、AI生成音声はTCPA上の「artificial」にあたると認定しました。つまりこれらの発信は47 CFR 64.1200のprior express written consent(事前の書面による明示的同意)の規定下に入ります。一方で料金を計算できるアプリは5本中3本だけ。Ava AI、CallFlows、Consioは「含有分+超過分の従量」、Loopは定義のない「credits」、Shoplabsは「Usage charges」とだけ書いて単価を公開していません。同じ月1,500分を全プランに当てはめると請求額は169ドルから499ドル。同一アプリの2つのプラン間で2.7倍の差が出ます。2026年9月11日に一次情報で確認しています。

AIECアプリ研究所 AI編集部公開日 更新日 読了 19分#アプリ比較#Shopifyブログ運営

この記事でわかること

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Shopifyのチェックアウト設定には Marketing opt-in というセクションがあります。用意されているチャネルはEmail、SMS、WhatsAppの3つ。電話用のチェックボックスは4つ目として存在せず、それに対応する通話同意のフィールドも顧客レコードにありません。

このカテゴリーの話は、結局この欠落に尽きます。Shopify向けAI音声エージェントで最も勢いのある訴求は「サポート電話に出る」ではなく「カート離脱した買い物客に電話をかける」です。Shopifyはアプリに電話番号を渡します。ですが、かけてよいという許可までは渡しません。

以下、Shopify標準で実際にできること、実在する5本のアプリを「何を課金単位にしているか」で比較した結果、同じ通話量で揃えたコスト試算、そしてAI音声に固有の米国の通話規制を整理します。2026年9月11日に一次情報で確認しています。

Shopify標準でできること、そこで止まる場所

Shopifyに音声チャネルはありません。管理画面にも、Shopify Inboxにも、Shopify Messagingにもです。ヘルプセンターはShopify Messagingを "send email and SMS campaigns and automations directly to your subscriber list, including abandoned checkout recovery"(メールとSMSのキャンペーン・自動化を配信リストへ直接送信。カート放棄からの回復を含む)と説明しています。メールとSMS。通話はありません。

カート放棄からの回復はメール前提で、公式ドキュメントもそう書いています。"A recovery email is not sent for an abandoned checkout"(回復メールが送られないケース)として並んでいる条件のうち、次の1行は二度読む価値があります。

If you allow customers to enter a phone number instead of an email address at checkout, and the customer chooses to enter a phone number, then the email can't be sent. (チェックアウトでメールアドレスの代わりに電話番号の入力を許可していて、顧客が電話番号を選んだ場合、メールは送信できません)

つまりShopify自身のドキュメントが、標準の回復機能では構造的に届かない放棄チェックアウトの一群を記述しています。電話番号だけを残して、メールアドレスを残さなかった買い物客です。音声アプリにとって最も明快な導入理由がここにありますが、このカテゴリーの宣伝文句が示唆するより、ずっと狭い範囲です。問題の規模を見積もるうえで、標準側の境界があと2つあります。チェックアウトが「放棄」として計上されるのは未完了のまま10分が経過してからで、3か月を過ぎた放棄チェックアウトは管理画面から自動削除されます。

同意の側では、Shopifyのモデルがどのチャネルを対象にしているかを明示しています。電話番号の収集手順を説明したヘルプセンターのページが指示しているのは "an SMS or WhatsApp marketing sign-up checkbox to your checkout"(チェックアウトへのSMSまたはWhatsAppのマーケティング登録チェックボックス)の追加です。Admin GraphQL APIで対応するレコードは CustomerSmsMarketingConsentState で、"the record of when a customer consented to receive marketing material by SMS"(顧客がSMSでのマーケティング受信に同意した時点の記録)と定義されています。音声通話に相当するオブジェクトはありません。

これは、音声アプリがShopifyから同意を引き継げないことを意味します。そのアプリが拠り所にしている許可は、アプリ自身が収集・保管しているものか、そもそも通話の許可ではなかった何かから推測しているもののどちらかです。機能を評価する前に、どちらなのかをベンダーに確認してください。

5本のアプリ、課金単位は3種類、うち2種類は数値化できない

ここで扱うアプリはすべてShopify App Storeに現存しており、以下の数値はすべて2026年9月11日に en ロケールで読んだリスティングからのものです。

アプリ開発元課金単位最低料金Built for Shopifyレビュー数公開日
Ava AI ‑ AI Phone AgentsAva AI Nexus LLC含有分+分単位の超過課金$29/monthなし52025年9月16日
CallFlows ‑ AI Phone AgentCall Flows Ltd.含有分+分単位の超過課金$39/monthあり142025年5月6日
Phone Call & AI Voice ‑ CONSIOConsio AI Inc.含有分+分単位の超過課金無料プランあり、以降$30/monthなし402024年10月21日
Loop ‑ AI Voice AgentsLoop Voice LLCcredits無料プランあり、以降$119/monthなし102025年11月21日
Shoplabs: AI Calling AssistantShoplabs AI「Usage charges」、単価の記載なしFree to installなし22026年1月5日

数字に入る前に3点。

カテゴリー自体がまだ若いです。 ここで最も古いアプリの公開が2024年10月、5本のうち3本は直近12か月以内の公開で、レビュー件数は2件から40件。これらのマーチャントがすでに使っているヘルプデスクアプリが数百〜数千件のレビューを持っているのと比べてください。どれも負荷がかかったときにどう振る舞うかを判断できるだけの公開レビューがまだ蓄積されていません。レビュー5件で成り立っている5.0という評価を、品質のシグナルとして扱うべきではありません。

App Storeの絞り込み機能は役に立ちません。 Helpdeskカテゴリーを Phone フィーチャーで絞り込むと243本が返ってきます。そのほとんどは電話チャネルを記録できるチャットやメールのヘルプデスクです。このタグは「AI音声エージェント」を意味していません。

そして5本のうち唯一 Built for Shopify バッジを持つアプリが、分単価では最も高額です。 このバッジが認定しているのはパフォーマンス、デザイン、統合の品質です。料金表については何も言っていません。

同じ通話量を、5通りに値付けする

月に1,500分の課金対象通話がある店舗を想定します。インバウンドのサポート電話が3分×300件、アウトバウンドの回復架電が90秒×400件、という程度の規模です。これに各リスティングの公開料金を当てはめます。

アプリとプラン含有分超過単価1,500分時点のコスト
Ava AI — Support($29)100分$0.10/min$169(インバウンドのみ)
Ava AI — Recover($99)400分$0.08/min$187
Ava AI — Scale($499)1,500分$0.07/min$499
CallFlows — Basic($39)100分$0.19/min$305
CallFlows — Advanced($119)450分$0.16/min$287
CallFlows — Pro($349)1,600分$0.14/min$349
Consio — $30 / $60 / $120 の各プラン100 / 400 / 1,000分$0.10/min3プランとも$170
Loop — Growth($399)/ Scale($975)500 / 1,500 credits記載なし計算不能
Shoplabs — Free to install—非公開計算不能

この表から、どのリスティングも直接は書いていないことが4つ出てきます。

同じアプリの中で、選ぶプランによって2.7倍違います。 Ava AIのScaleプランはちょうど1,500分を$499で含みます。同じ1,500分をRecoverプランで使うと、$99に超過1,100分×$0.08を足して$187です。Scaleが提供するのは最大5体のAIエージェントと20件の電話番号で、それが必要なら選ぶべきプランです。ですが通話分数を買っているのなら、上位プランは自らが看板に掲げている分数において損な選択になります。

Ava AI ‑ AI Phone AgentsのShopify App Storeリスティングの料金プラン。$29のSupport、$99のRecover、$499のScaleと、それぞれの分単位の超過単価

出典: Shopify App Store(Ava AI ‑ AI Phone Agents、2026-09-11時点)

Consioの3プランは同じ額に収束します。 有料3プランの計算を展開すると、いずれも「月額約$20+分あたり$0.10」という同じ式に還元されます。だからこそ1,500分時点でどれも$170になります。含有分を下回る使い方では、上位プランは同じ利用量に対して単に高くつくだけです。$30プランから始めて、恒常的に100分を超えるようになってから上げてください。

アウトバウンドは標準装備ではなく有料の上位機能です。 Ava AIは "Outbound abandoned cart recovery calls" をRecover以上に置いているため、$29プランはインバウンド専用の電話受付です。CallFlowsのリスティングが説明しているのは同時 着信 数で、アウトバウンドのキャンペーン機能は記載されていません。カート回復が導入理由なら、最低料金は実際の料金ではありません。

5本のうち2本はリスティングから料金を算出できません。 Loopが売っているのはcredits(月120/500/1,500)で、リスティングはそれを分ではなく "3–6 conversations per day"、"10–25 conversations per day" と言い換えています。長さの分からない会話は、予測の単位になりません。Shoplabsはもっと端的で、料金セクション全体が「Free to install」と「Usage charges」だけ、単価の記載はありません。

Shoplabs: AI Calling AssistantのShopify App Storeリスティングの料金セクション。Free to installとUsage chargesの表示のみで単価の記載がない

出典: Shopify App Store(Shoplabs: AI Calling Assistant、2026-09-11時点)

どちらも失格という話ではありません。ただしインストール前に単価を文書で確認すべき理由にはなります。Shopifyの従量課金は、アプリが申告した額をそのまま請求するからです。

そのエージェントは、あなたのストアに何をしてよいのか

このカテゴリーでほとんど誰も実施していない比較が、各リスティング最下部の Data access ブロックです。これらのアプリの差は、機能よりも書き込み権限に出ます。

Ava AI は Edit orders("All order history, order edits")と Edit discounts を要求します。説明文とも整合していて、エージェントは "can process refunds while the shopper is on the line"(買い物客が電話口にいる間に返金処理ができる)、"texts discount links"(割引リンクをSMSで送る)とあります。通話中に返金を実行できるAIは、実用的な能力であると同時に、実際の影響範囲でもあります。

CallFlows は5本の中で最も広い権限を要求します。Edit products(在庫、商品、コレクション)、Edit orders(直近60日の注文履歴、マーチャント管理のフルフィルメント、配送情報、サードパーティフルフィルメント、返品)に加えて、割引、ギフトカード、Shopify Functionsのdelivery customizations、Online Storeのページ、法的ポリシーの閲覧権限です。Agent Skillsの機能一覧に注文の作成が含まれているため、権限と訴求は一貫しています。

CallFlows ‑ AI Phone AgentのShopify App Storeリスティングページ上部。Built for Shopifyバッジと「$39/月から」の料金表示

出典: Shopify App Store(CallFlows ‑ AI Phone Agent、2026-09-11時点)

Loop は Edit discounts と、顧客・商品・直近60日の注文・チェックアウトページの閲覧を要求します。割引コードは発行するが注文には触らない、アウトバウンド回復ツールとして整合する狭い範囲です。

Loop ‑ AI Voice AgentsのShopify App Storeリスティングページ上部。無料プランの表示と5.0の評価、アウトバウンドのカート回復という位置づけ

出典: Shopify App Store(Loop ‑ AI Voice Agents、2026-09-11時点)

Shoplabs は顧客・商品・注文・割引・Online Storeページ・ポリシーのすべてについて 閲覧のみ を要求します。5本の中で唯一、ストアの内容を変更できないアプリです。行動するのではなく、答えてエスカレーションするエージェントが欲しいマーチャントにとっては、これは欠点ではなく仕様です。

Consio はリスティングにData accessブロックが表示されないため、App Storeページ上では権限が明示されていません。インストール時に確認してください。

Phone Call & AI Voice ‑ CONSIOのShopify App Storeリスティングページ上部。無料プランありの表示と、40件のレビューによる5.0の評価

出典: Shopify App Store(Phone Call & AI Voice ‑ CONSIO、2026-09-11時点)

インバウンドとアウトバウンドは別の製品

インバウンドのエージェントは、顧客が自分でかけた番号に応答します。アウトバウンドのエージェントは、AI音声で米国の消費者に発信します。米国の通信法において、この2つは別の行為であり、後者は規制対象です。

2024年2月8日、FCCはDeclaratory Rulingを採択し、"calls made with AI-generated voices are 'artificial' under the Telephone Consumer Protection Act"(AI生成音声による通話はTCPA上の「artificial」にあたる)と認定しました。FCC自身の発表は帰結も明記しています。FCCの規則は "require telemarketers to obtain prior express written consent from consumers before robocalling them"(テレマーケターがロボコールの前に消費者から事前の書面による明示的同意を得ることを求める)ものであり、"this Declaratory Ruling ensures AI-generated voices in calls are also held to those same standards"(この認定により、通話中のAI生成音声も同じ基準の下に置かれる)。

これによりAI音声通話は47 CFR 64.1200の適用下に入ります。同条が定める要件には次のものが含まれます。

  • Prior express written consent。artificial or prerecorded voiceを用いる通話のうち "includes or introduces an advertisement or constitutes telemarketing"(広告を含む・導入する、またはテレマーケティングにあたる)ものを携帯電話または固定電話にかける場合に必要です。条文上の定義は、署名のある書面による合意(電子署名可)で、対象の電話番号を明示し、同意が購入の条件ではない旨を開示するものです。
  • 通話冒頭での発信者の特定。artificial voiceのメッセージは "at the beginning of the message, state clearly the identity of the business"(メッセージの冒頭で事業者の身元を明確に告げる)必要があり、登録商号を用い、折り返し用の電話番号も伝えます。
  • 自動オプトアウト手段。上記の身元告知から2秒以内に提供し、選択された番号をdo-not-callリストへ記録して通話を終了させる必要があります。
  • 同意撤回を10営業日以内に反映。合理的な方法であればどれでも有効で、オプトアウトの手段を "may not designate an exclusive means"(排他的に指定してはならない)とされています。
  • 通話可能時間は現地時間の午前8時から午後9時。相手の所在地の現地時間が基準です。telephone solicitationについてはnational do-not-call registryも適用されます。

Shopifyマーチャントにとっての実務的な帰結は2つです。第一に、割引の提示から入るカート回復架電はテレマーケティングにあたり、チェックアウトのSMSチェックボックスはその発信に対する書面同意にはなりません。Shopify側の記録はSMSに限定されているからです。第二に、通話可能時間は顧客の現地時間基準であり、これは米国の各タイムゾーンにまたがってアプリ側が実装すべきルーティング要件です。自社の時間帯から推測して設定できるものではありません。

インバウンド専用の運用であれば、ここまでのほとんどを回避できます。そこから始めるのは合理的な判断です。なお以上は法的助言ではなく、州ごとの規則がさらに要件を追加します。ベンダーの回答は、この連邦規則の条文を物差しにして評価してください。

選び方

標準の回復メールは機能していて、営業時間外の電話に出てほしいだけ。 インバウンド専用プランから始めて、アウトバウンドの論点には踏み込まないのが素直です。公開料金で最安の入口はAva AIの$29 Supportプラン。CallFlowsはBuilt for Shopifyバッジを持ち同時着信に対応しますが、上記1,500分の試算では約1.7倍になります。

月1,000分を超えていて、料金を予測可能にしたい。 Consioの実効「$20+$0.10/分」と、Ava AIのRecoverプランの超過単価$0.08が、この通話量における公開最安値の2つです。プランを決める前に自店の分数を試算してください。看板プランが自分の利用量で最安になることは、まずありません。

答えるだけでなく、その場で解決するエージェントが欲しい。 注文に対して行動できる書き込み権限を持つのはAva AIとCallFlowsです。AIに無人で返金を実行させるかどうかは意識的に決め、どんな監査証跡が残るかを確認してください。両アプリとも通話の録音と文字起こしをリスティングに明記しています。

権限は最小にしたい。 Shoplabsは閲覧専用です。ただし利用単価を先に文書で取ってください。

アウトバウンドのカート回復こそが導入目的。 同意を最後ではなく最初の評価基準として扱ってください。ベンダーに確認すべきことは、書面同意をどこで取得しどこに保管するのか、撤回要求を10営業日以内にどう処理するのか、現地時間8時〜21時の枠をどう担保するのか、エージェントは最初の2秒で何を話すのか。これらをドキュメントで答えられないベンダーは、通話を売ってリスクをあなたに残しています。

まだどれも当てはまらない。 Shopifyの標準カート放棄メールは無料で、すでに動いています。音声を足す狭くて筋の通った理由は、Shopifyが公式に「届かない」と記述しているチェックアウト(電話番号だけでメールなし)と、いま鳴りっぱなしにしている着信の2つです。

参考・出典

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