この記事でわかること
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Shopifyの発注書アプリをめぐる情報の大半は、ひとつの前提に立っています。「Shopify自体には発注書機能がない」。その前提は2026年6月22日に失効しました。それ以前に書かれた記事は、すべてこの前提を引きずっています。
この日、Shopifyはpurchase orderとinventory transferを接続しました。purchase orderは「何をいくらで買うと合意したか」を記録し、紐づいたtransferは「実際に何が届いたか」を記録します。注文とフルフィルメントの関係と同じ構造です。2026年8月31日のStocky終了と重なったことで、発注書アプリというカテゴリの相当部分が「必須」から「任意」へ静かに移動しました。
任意は、不要とは違います。線が実際どこに引かれているかを見ていきます。
先に結論
- ネイティブのpurchase ordersは実用に足ります。 連絡先を持つsupplierレコード、payment terms、supplier currency、Supplier SKU、その仕入先との過去POからのコスト自動入力、CSVでの明細インポート、バーコードスキャナ入力、PDFエクスポート、そして行単位でAccept・Reject・Cancelを選べる複数shipment対応のtransferが揃っています。
- POを仕入先へメール送信する手段は文書化されていません。 Help Centerが示す経路はひとつだけ——More actions → Export PDF、あとは自分で送る。以下の6本のうち3本が「仕入先へのメール送信」を機能として掲げ、もう1本はPDF/CSVでの送付を掲げています。
- payment termsはsupplierに紐づきません。 Shopifyは明記しています。payment termsとsupplier currencyは「個々のpurchase orderに固有であり、特定のsupplierの既定値としては保存されない」。Net 30は毎回入力し直しです。
- 承認ステップがありません。 ステータスはDraftとOrderedの2つだけ。承認待ち状態も、金額しきい値も、二重承認もありません。しかも「Orderedにする操作は取り消せません」。
- まだ存在しない商品は発注できません。 「Shopifyストアに既に存在する商品しか追加できません」。新シーズンのSKUに初回発注をかけるブランドにとっては、順序の問題として実害があります。
- アプリの課金単位はバラバラで、うち2本は月あたりPO件数で課金します。 Ultimate Purchase Ordersは月50/100/250/500 POのプラン、Auto Purchase Ordersは月100/250 POのプランです。1つの仕入先向け発注を3つのPOに分ければ、3件分を消費します。ネイティブPOは件数課金されません。
- Built for Shopifyの2本は、POを何段も上に置いています。 EasyScan Inventory & BarcodeはPurchase Orders & Transfer Ordersを4段中3段目のAdvanced・月額79.99ドルから、Stockie Inventory Managementは4段中4段目のPro Plus・月額59.99ドルから提供します。買っているのは予測やスキャンで、POモジュールはそれに付いてくる形です。
料金・評価・レビュー件数は、すべて2026年9月10日にShopify App Storeのen-USロケールで確認しました。
ネイティブのpurchase ordersは今、何ができるのか
ここから始めます。多くのストアにとって答えが「何も買わなくていい」だからです。
purchase ordersはProducts → Purchase ordersにあります。POはsupplier、受け入れ先location、明細、payment terms、supplier currency、cost summaryを持ちます。supplierは連絡先と住所を持つレコードで、supplierの詳細画面には、その仕入先から過去に発注した明細が表示されます。
明細の入力方法は3つ——手動検索、SKUまたはbarcodeを鍵にしたCSVインポート、バーコードスキャナ入力(モバイルではカメラも可)。過去にその仕入先から買った商品を追加すると、Supplier SKU・Cost・Taxが前回のPOから自動入力されます。複数の価格で買った履歴があればドロップダウンで選べます。履歴がなければ、バリアントのcost per itemが入ります。
受け入れはPOではなく、紐づいたtransfer上で行います。各明細にAccept・Reject・Cancelを、必要なら数量を分割して割り当てられ、理由をメモとして残せます。Rejectした数量は記録されますが、利用可能在庫には入りません。originがlocationではなくsupplierなので、Cancelした数量はどこにも戻らず消えます。1つのtransferは複数shipmentを持てるため、3回に分けて出荷する仕入先は3回として追跡されます。
発注時点では分からない費用——運賃、関税——は、shipment単位のcost adjustmentとして付けます。transferのCost summaryがそれらを集計するので、合意コストと実際の入荷コストを比較できます。2026年6月30日以降、transferにはmetafieldも設定できます。ロット番号、運送業者の参照番号、ERPのキーを載せる場所です。
受け入れはShopify adminでもShopify POSでも可能で、店舗に届いた荷物はレジ側で受け取れます。
これは十分に機能する仕組みで、別売りではなく管理画面の一部です。purchase ordersとtransfersのHelp Centerページに、Shopifyプラン要件の記載はありません。ただし「どのプランでも使える」と明記されているわけでもないため、重要なら自分のプランで確認してください。
アプリが売れる5つのギャップ
1. POを仕入先へ届ける
Help Centerの経路は、下書き保存 → Export PDF → 「仕入先へ提出してレビューと承認を受ける」。添付は自分で送ります。送信アクションも、送信を発火させるsupplierメール欄も、送信履歴もありません。
アプリの解き方は3通りに分かれます。Ultimate Purchase Ordersは自分のメールアドレス(Gmail含む)から送ります。Auto Purchase Ordersは自社ドメインから送り、到達率を機能として掲げています。Full Shelf Purchase Ordersは添付ではなくリンクをメールします。StockieはPDF/CSVで仕入先へ送ります。
2. supplierの既定値
supplier currencyについては、そのsupplierの通貨が既定値として入るので問題ありません。payment termsは違います。Shopifyのドキュメントは、payment termsとsupplier currencyが「個々のpurchase orderに固有であり、特定のsupplierの既定値としては保存されない」と述べています。12社と4種類の条件で取引していれば、それは頭かスプレッドシートに置かれた12個の事実で、毎回入力し直すことになります。
Stockieはsupplierの連絡先をlead timeやsafety stockの設定と一緒に保持します。同じ発想を予測側へ延ばしたものです。
3. 承認
DraftとOrdered。その間には何もありません。「1万ドル超は第二承認者が必要」もなければ、回付も、誰が承認したかの記録もありません。2人のストアなら問題ありません。バイヤーが起票してオーナーが承認するストアでは、ソフトウェアではなく運用ルールとして守ることになります。
Mark as orderedが不可逆である点も押さえてください。その後もsupplier・商品・コストは編集できますが、Draftには戻せません。Ordered済みのPOは削除できず、archiveのみです。
4. 仕入先向けポータル
ネイティブのsupplierは、自分が保守するレコードにすぎません。ログインもなく、Shopifyの中で応答する手段もありません。
WebkulのPurchase Managementは、まさにそこを中心に作られた唯一のアプリです。supplierが自分のアカウントを持ち、割り当てられたPOを見て、依頼を承諾または拒否できます。リスティングには、purchase orderで仕入先に依頼できる最小・最大数量を設定できるとも記載されています。月額25ドル(または年額275ドル)、7日間トライアル。ただしレビューが1件もありません。仕入先との間に立つ仕組みとしては、無視できないリスク要因です。
5. まだ存在しない商品の発注
「Shopifyストアに既に存在する商品しか追加できません」。これは意外と刺さります。来シーズンのラインに初回発注をかけるなら、全バリアントをSKU付きで(非公開でよいので)先にShopify上に作ってからでないと、POに載せられません。自前で商品レコードを持つアプリはこの制約を受けません。ネイティブは受けます。
各アプリの料金と課金単位
このカテゴリが分かりにくいのは、6本が「何に対して課金しているか」でほとんど一致しないからです。
| アプリ | 最低料金 | 課金単位 | POが使えるプラン | Built for Shopify | 評価(レビュー数) |
|---|---|---|---|---|---|
| Full Shelf Purchase Orders | $9.99/月 | 記載なし | $9.99 | なし | 5.0(5) |
| Ultimate Purchase Orders | $9.99/月 | 月あたりPO件数 | $9.99(50 PO) | なし | 3.5(11) |
| Purchase Management | $25/月 | 記載なし | $25 | なし | 0.0(0) |
| Auto Purchase Orders | $39.99/月 | 月あたりPO件数 | $39.99(100 PO) | なし | 4.9(45) |
| Stockie Inventory Management | $4.99/月 | バリアント数(Basicのみ) | $59.99(Pro Plus) | あり | 4.8(147) |
| EasyScan Inventory & Barcode | $9.99/月 | ユーザー席数 | $79.99(Advanced) | あり | 5.0(357) |
「最低料金」列はApp Storeが表示する数字で、まとめ記事がそのまま転記する数字でもあります。発注書目的で来た読者にとって、StockieとEasyScanのこの数字はほぼ無意味です。POはStockieでは最低料金の3段上、EasyScanでは2段上にあります。
Ultimate Purchase Orders

出典: Shopify App Store(Ultimate Purchase Orders、2026-09-10時点)
4プランすべてが月あたりPO件数課金です。Small Business $9.99(50 PO)、Medium Business $14.99(100)、Large Business $24.99(250)、Enterprise $34.99(500)。いずれも7日間トライアル。開発はDroid Infinity、公開日は2023年5月18日。
プラン境界には、基本機能だと思いがちなものが隠れています。PO・メールテンプレートのカスタマイズとpacking slipsは$14.99から。Moving Average Costs、ライブレートのMulti-Currency、PO への書類添付は$24.99から。Remittance Adviceは$34.99からです。
評価は11件で3.5。このページで唯一、4を下回るアプリです。2026年6月6日、英国のストア(利用4か月)のレビューは、明細の並び順が不規則で、その仕様についての問い合わせに回答がなかったと述べています。2025年2月、米国のストア(利用約1年)のレビューは、注文をワンクリックでPO化する「Recreate」機能と数時間以内のサポート応答を高く評価しています。11件では、どちらが典型かを判断できません。
Auto Purchase Orders

出典: Shopify App Store(Auto Purchase Orders、2026-09-10時点)
入口の料金が最も高く、自動化系の機能リストも最も長いアプリです。Advanced $39.99(月100 PO)、Professional $59.99(月250 PO、Shopify注文のPO統合とwebhooks APIを追加)、Enterprise plan $74.99(PO件数の上限はリスティングに記載がなく、「インストールしてEnterpriseプランを確認せよ」とあります)。14日間トライアル。開発はMagic Bits、公開日は2021年3月22日。
特徴はドロップシッピング寄りです。Shopify注文からのPO自動生成、1件の顧客注文を複数仕入先へ分割、複数の顧客注文を1つの仕入先POへ統合、XeroとQuickBooksへのbill同期。Works withにShopify POSとShopify Flowが挙がっています。評価は45件で4.9、4未満のレビューはありません。
インストール前にdata accessの開示を読むことを勧めます。氏名・メール・電話・住所を含むcustomer data、およびgeolocationとIPを要求します。買い手宛てに荷物を送るドロップシッピングアプリとしては妥当ですが、純粋な補充ツールに必要な範囲は超えています。
Full Shelf Purchase Orders

出典: Shopify App Store(Full Shelf Purchase Orders、2026-09-10時点)
1プランのみ、月額9.99ドル、5日間トライアル、PO件数の上限記載なし。開発はバンクーバーのCashew Tree Software Inc.、公開日は2018年2月15日で、この6本では2番目に古いアプリです。
やることは絞られています。Supplier SKU欄、PDFまたはメールリンク、仕入先ごとのロゴ・備考・送料・税率、部分/全量受け入れとShopify在庫への反映、Shopify注文からのPO作成(顧客宛て直送指定を含む)。5件で5.0——母数が小さすぎて平均値の意味は限定的です。
Purchase Management

出典: Shopify App Store(Purchase Management、2026-09-10時点)
月額25ドルまたは年額275ドル、7日間トライアル。開発はWebkul Software Pvt Ltd、公開日は2015年12月14日。検討する理由は仕入先ポータルの一点であり、慎重になるべき理由はレビュー0件の一点です。リスティングにデモストアのリンクがあるので、決める前に触ってください。
Stockie Inventory Management

出典: Shopify App Store(Stockie Inventory Management、2026-09-10時点)
Built for Shopify、147件で4.8、開発はPlutonian、公開日は2021年7月19日。4プラン——Basic $4.99(アラート5件、最大8,000バリアント、宛先3件、locations無制限)、Advanced $9.99(商品別しきい値、Slack、アラート/バリアント/宛先が無制限)、Pro $29.99(予測ダッシュボード、lead timeとsafety stockの設定、再発注予測日)、Pro Plus $59.99(POの作成・管理、予測からのPO生成、shipment追跡と受け入れ、Shopify在庫への自動反映、PDF/CSVでの仕入先送付)。14日間トライアル、年額表示はありません。
正直に言えば、Stockieは低在庫アラートと予測の製品にPOモジュールが育ったものです。POだけが目的なら、使わないかもしれない3段分を含めて59.99ドルを払うことになります。「何を再発注すべきか教えてくれて、そのまま起票してほしい」が目的なら、この段構成はまさにそのために作られています。
2026年7月28日、カナダのストア(利用5分)の1つ星レビューは、PO・stocktake・transferが「Shopifyのネイティブ機能の焼き直しにすぎない」と主張しています。開発元は同日反論しました。評価はさておき、ネイティブtransferが存在する今、この問いはこのページの全アプリに投げるべき問いです。本記事がネイティブの説明から始めたのも、それが理由です。
EasyScan Inventory & Barcode

出典: Shopify App Store(EasyScan Inventory & Barcode、2026-09-10時点)
Built for Shopify、357件で5.0——この6本で群を抜いてレビュー数が多いアプリです。開発は506、公開日は2020年1月24日。4プラン、年払いで17%割引——Basic $9.99(バーコード・SKU生成、ラベル印刷)、Standard $39.99(ピック/パック/フルフィル、stock transfer、bin locations、低在庫アラート)、Advanced $79.99(Purchase Orders & Transfer Orders、需要予測、AI insights、ユーザー6席)、Pro $129.99(席数とlocation rolesが無制限、barcode aliases)。料金表に記載された数量上限はユーザー席数だけで、PO件数・注文数・SKU数の上限はどこにもありません。
リスティングに「supplier」「vendor」という語は一度も出てこず、POのメール送信にも触れていません。あなたのPO課題が仕入先とのやりとりの課題なら、この沈黙は重要です。倉庫現場の課題——スキャン、put-away、棚卸——なら、この6本の中でそのために作られているのはこのアプリで、357件のレビューはこのページで最も厚い根拠です。
どう選ぶか
ネイティブのままでよいのは、POの件数が手に負える範囲で、仕入先がPDFのメール添付を受け入れ、payment termsが覚えられる程度の種類で、誰の承認も要らない場合です。米国の中小ストアの多くはここに当てはまります。supplier、supplier currency、Supplier SKU、コスト履歴、CSVインポート、複数shipment受け入れ、POS受け入れは、すでに無料で手元にあります。
PO専用アプリを買うのは、送信がボトルネックになっている場合、あるいはPOが補充ではなく顧客注文から生まれる場合です。シンプルな端はFull Shelf、テンプレートと段階分けが欲しければUltimate Purchase Orders、ドロップシッピングや顧客注文の仕入先分割ならAuto Purchase Orders。
在庫プラットフォームを買うのは、POが「買おうとしているワークフローの最終ステップ」であって目的そのものではない場合です。予測起点の再発注ならStockie、スキャン起点の倉庫運用ならEasyScan。どちらも発注書を安く手に入れる方法ではありませんが、発注書と、本当に必要だった何かをまとめて得る方法としては妥当です。
Purchase Managementを買うのは、仕入先ポータルが必須要件である場合に限り、まずデモストアで確認してください。
何かをインストールする前に、Products → Purchase ordersで実際の発注を20分試してください。下書きを作り、PDFを出し、transferを作成し、部分入荷を受け入れ、運賃のadjustmentを足す。その20分で苛立った点が、あなたの本当の要件です。それは想像より短いかもしれません。
文書化されていない2点
自分でテストするときに持っていくべき注意点が2つあります。
Help Centerは、cost adjustmentがshipmentに付き、transferのCost summaryで集計され、合意コストと実際のコストを比較できると説明しています。ただし、その運賃や関税が各バリアントのunit costへ配賦されるとは書いていません。単位あたりのlanded costが粗利レポートの前提になっているなら、その挙動は自分の管理画面で確認してください。推測で前に進まないことです。
もう1つ、1つのpurchase orderに紐づけられるinventory transferは同時に1つだけです。解除と再リンクは可能で、解除したtransferも受け入れとコストの履歴を保持します。ただし同時にリンクできるのは1つだけです。1つのPOが本当に別々の3つのtransferとして届く場合は、1つのtransferの中の3つのshipmentとして表現するか、POが指さないstandaloneのsupplier transferとして持つか、どちらかになります。
参考
- Purchase orders — Shopify Help Center
- Creating and managing purchase orders — Shopify Help Center
- Creating and managing suppliers for purchase orders — Shopify Help Center
- Creating an inventory transfer for your purchase order — Shopify Help Center
- Viewing and filtering purchase orders — Shopify Help Center
- Inventory transfers and shipments — Shopify Help Center
- Purchase orders now create transfers to move inventory — Shopify Changelog、2026年6月22日
- Define and manage metafields on inventory transfers — Shopify Changelog、2026年6月30日
- Shopify App Storeリスティング(Ultimate Purchase Orders、Auto Purchase Orders、Full Shelf Purchase Orders、Purchase Management、Stockie Inventory Management、EasyScan Inventory & Barcode)、en-USロケール、2026年9月10日取得
Shopifyの公式ドキュメントが上限を決めています。1プランにつき従量メーターは最大5本、1メーターにつき価格ティアは最大6段、そして「Usage caps aren't currently supported」——マーチャント側で従量課金に上限を設定する仕組みは存在しません。Built for Shopifyバッジと2,953件のレビューを持つ月額29.99ドルのオールインワンアプリVitalsは、ちょうど5本のメーターをちょうど6段のティアで運用しています。うち2本の課金基準は「assisted sales attributed to Vitals」——Vitalsが算出し、マーチャント側では検証できない数字です。Tier 6以降は帰属売上が1万ドル増えるごとに100ドル加算。App Storeのリスティングに書かれている従量課金は2項目、自社の料金ページには5項目。ヘルプセンターのBilling & Chargingセクション(最終更新2026年4月10日)には、そのどれも書かれていません。しかも5本のうち3本は、Shopify Forms、Shopify Messaging、Microsoft Clarityが無償で提供している機能に課金するものです。注文数を課金基準にするGrowaveと比較しました。2026年9月11日に一次情報で確認しています。