この記事でわかること
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この10年近く、Shopifyを外部の何かにつなぐとき、開発者を雇わずに済ませる方法にはひとつの決まった形がありました。設定 > アプリ > アプリを開発へ行き、アプリを作り、必要なAdmin APIスコープにチェックを入れ、インストールして shpat_ で始まるトークンを表示させ、それを要求してくる相手——3PLの管理画面、スプレッドシートのスクリプト、レポートツール、ERPコネクタ——に貼り付ける。
新規の連携について、この経路はもう存在しません。閉じたのは2026年1月1日です。そして壊れたのは、多くの解説記事が見出しにしている部分ではありません。
結論
管理画面からカスタムアプリを作れなくなりました。 2025年10月30日付のShopify Changelogにこう書かれています。"Starting January 1, 2026, you can no longer create new custom apps in the Shopify admin."
既存のカスタムアプリはそのままです。 同じChangelogに "Existing custom apps aren't affected and will continue to work." とあります。2026年1月1日より前に作ったものはヘルプセンターで legacy custom app と呼ばれ、管理画面の Legacy custom apps セクションから引き続き管理できます。
本質的な変更はボタンではなく認証です。 Dev Dashboardで作ったカスタムアプリについて、ヘルプセンターは「管理画面から直接アクセストークンをコピーして送ることはできない」と明記しています。トークンはclient credentials grantでプログラム的に取得するものになり、shopify.devはその有効期限を24時間と記載しています。
代理店運用と複数ストア運用を直撃する制約が2つあります。 client credentials grantはアプリとストアが同じShopify organizationにある場合しか機能せず、collaboratorアカウントはそもそもDev Dashboardにアクセスできません。
管理画面の作成フローは何に置き換わったか
アプリを開発ボタン自体は同じ場所にあります。行き先が変わっただけです。
ヘルプセンターのInstalling and setting up appsによれば、現在の手順は 設定 > アプリ > Develop apps > Build apps in Dev Dashboard > Create app です。そこでアプリ名を決め、app URLを設定し(管理画面に埋め込まないアプリ向けに https://shopify.dev/apps/default-app-home が案内されています)、Webhooks API versionを選び、access scopesを入力して、バージョンを Release します。
この流れで運用上効いてくる点が2つあります。
スコープは「設定のチェックボックス」ではなく「リリースしたバージョン」に紐づきます。 後から必要なスコープが増えた場合、shopify.devのclient credentialsチュートリアルは、そのスコープを含む新しいバージョンをリリースし、ストア側で変更を承認する、と説明しています。read_orders を後から足すのはトグル操作ではなくリリース作業です。
インストールリンクはストア固有で、寿命が短いです。 ヘルプセンターは、カスタムアプリのインストールリンクは "are specific to your store, and can't be used to install the app on another store" であり、"for security reasons, custom install links expire after seven days" と記載しています。2週間前に開発者からメールで送られてきたリンクは、もう死んでいます。
壊れるのはトークンの部分
これが最も影響の大きい差分で、しかも推測ではなくShopify自身のドキュメントに書かれています。
2026年1月1日より前に作った legacy カスタムアプリなら、管理画面からAdmin APIアクセストークンを取得できます。ただし警告つきです。ヘルプセンターの表現はこうです。"You can reveal an Admin API access token only one time. If you lose the token, then you need to uninstall and reinstall the app to get a new one. Uninstalling the app deregisters resources such as webhooks, carrier services, and inventory integrations, which your developer needs to register again with the new token."
Dev Dashboard で作ったカスタムアプリには、そもそも表示機能がありません。ヘルプセンターの記述は "For custom apps that you create in the Dev Dashboard, you can't copy and send an access token directly from your Shopify admin. Your developer needs to generate the access token." です。仕組みはclient credentials grantで、アプリがclient IDとclient secretを https://{shop}.myshopify.com/admin/oauth/access_token にPOSTしてトークンを受け取ります。
そして、既存のツールが生き残れるかどうかを決める数字がこれです。shopify.devはレスポンスの expires_in について "Seconds until expiration. Always 86399 (24 hours)." と記載しています。
対比が重要です。legacy custom appのトークンはインストール時に事前生成されるもので、shopify.devのlegacyリファレンスは "can't rotate the API key or secret" とし、新しいトークンを得る唯一の方法はアンインストールと再インストールだと書いています。設計上、静的な文字列です。client credentialsのトークンはその逆で、毎日失効し、その都度取得し直す必要があります。設定欄に永続的な文字列を貼り付ける前提のツールは、こちら側で自動更新する仕組みがない限り、もう成立しません。
Shopifyのドキュメントはこの状況を想定しています。client credentialsチュートリアルには "External tool asks you to 'copy a token'" というトラブルシューティング項目があり、示されている解決策は回避策ではありません。"These tools expect the older authentication flow. Contact the tool vendor about updating their integration to use OAuth."
答えは設定変更ではなくベンダーとの会話である、とShopifyが言っているわけです。
計画の前に知っておく4つの制約
同じorganization内でのみ動きます。 client credentials grantは、アプリとストアがDev Dashboard上で同じShopify organizationに属していない場合 shop_not_permitted を返します。shopify.devは、ストアを所有していることやアプリをインストールしていることはorganizationへの所属を意味しない、と明記し、"client credentials can't reach a store outside your organization, including a client's store" としています。クライアントのために構築する代理店は、custom distributionと別のgrant——管理画面内で動くアプリならtoken exchange、外部で動くならauthorization code grant——を使う必要があります。
collaboratorはDev Dashboardに入れません。 ヘルプセンターは、collaboratorは "can't access the Dev Dashboard because they don't have organizational-level permissions" と記載しています。Manage and install apps and channels の完全な権限と Approve app charges を付与すれば、collaboratorがカスタムアプリをインストールすることは可能で、shopify.devによれば既存のadmin-created appのAPIスコープ変更も適切な権限があれば可能です。できないのは新規作成です。それは App development > Develop 権限を持つスタッフか、ストアオーナーの仕事になりました。連携の作成を代理店のcollaboratorアカウントに任せてきた場合、この体制は見直しが必要です。権限の階層差はスタッフ・collaborator・POSアカウントの上限で整理しています。
Level 2 PIIのカスタムアプリはGrow以上が必要です。 ヘルプセンターのAbout appsには "To access Custom Level 2 PII apps, your store must be on the Grow plan or higher." とあり、Basicへダウングレードするとアクセスを失うという注意書きが添えられています。顧客名・メールアドレス・住所を読む連携なら、プランは設計の一部です。どの階層で何が見えるかはアプリはストアのどこまで見えるかで扱っています。
削除は不可逆です。 ヘルプセンターのUninstalling appsには "When you delete a custom app, it can't be recovered." とあります。legacyアプリについてshopify.devはさらに直截で、"Deleting removes the app configuration from the Shopify admin permanently, and you can't create a new admin-created custom app to replace it." と書いています。一時的に止めたいだけなら、削除ではなくアンインストールを選んでください。
すでにlegacy custom appを運用している場合
移行を強制されるわけではありません。ただし、上の規則のうち2つが組み合わさると具体的なリスクになります。
トークンを表示できるのは1回だけ。紛失すればアンインストールと再インストールが必要で、その過程でwebhooks、carrier services、inventory integrationsの登録が解除されます。そして元のアプリを削除してしまえば、代わりのlegacyアプリを新たに作ることはできません。1月1日の締切に例外はないからです。
実務的な保守項目は短く済みます。
- トークンは決済情報と同じ扱いで保管する。メールのスレッドに残さない。
- そのアプリに紐づくスタッフまたはcollaboratorアカウントを記録しておく。unsupported appの警告はそのアカウント宛に届き、アプリの App settings ページで確認・更新できるとヘルプセンターに記載があります。
- 時計を把握する。Shopify APIの新バージョンは3か月ごとにリリースされ、各バージョンは1年間動作し、破壊的変更が影響する場合、開発者には9か月の更新猶予があります。
- 廃止する前にアプリのアンインストール後始末ガイドを読む。カスタムアプリも公開アプリと同種の残骸を残します。
カスタムアプリで実現していた仕事を肩代わりする3本
マーチャントが自分で作ったカスタムアプリの用途は、だいたい3つに分かれます。データを一括で出し入れする、注文データを定期的に外部システムへ送る、Shopify Flowでは表現できない業務ロジックを回す。いずれもApp Storeに選択肢があり、しかも認証はアプリ側が持ちます。OAuthセッションを保持するのがアプリであってあなたではないため、トークン問題そのものが発生しません。
以下の評価・レビュー件数・料金は、2026年9月7日にen-USのShopify App Storeで確認したものです。
Matrixify — 一括インポート・エクスポートとスケジュールジョブ

出典: Shopify App Store(Matrixify、2026-09-07時点)
MatrixifyはITissible提供で、Built for Shopifyバッジを持ち、評価は4.9(1,595件)です。Products、Collections、Customers、B2B Companies、Discounts、Draft Orders、Orders、Payouts、Pages、Blogs、Redirects、Activity、Files、Metaobjects、Metafields、Navigation Menus、Store Credits、Translationsを、Excel・Google Sheets・CSVで読み書きします。連携先としてFTP/SFTP、Google Drive、Dropboxがリスティングに挙がっており、自動繰り返し付きのスケジュールエクスポート/インポートも記載機能です。
料金は処理レコード数ではなく1ファイルあたりの上限で分かれます。無料の Demo(1ファイル10件)、Basic が $20/month(1ファイルあたり商品5K・顧客2K・注文1K)、Big が $50/month(50K/20K/10K)、Enterprise が $200/month で上限なし、手動ジョブの並列実行は2本です。
正直に書いておくべき弱点は学習コストです。2026年8月27日のオーストラリアのマーチャントによる★1レビューは、検証エラーが頻発すると述べ、"you need to have a high level of technical expertise to operate" と結んでいます。開発元は公開返信で、その検証は意図的なもので、実データに書き込む前にファイルを点検していると説明しています。どちらも事実で、期待値としてはこれが正確です。バルク編集としての挙動はAlteraとのCSV・一括編集の上限比較で扱いました。
syncX: Data Export Reports PDF — 注文データの定期・リアルタイム送信

出典: Shopify App Store(syncX: Data Export Reports PDF、2026-09-07時点)
syncX: Data Export Reports PDFはSyncX提供、Built for Shopifyで評価は4.3(138件)です。用途はより限定的で、注文データを外に出すことに絞られています。送り先はメール、FTP/SFTP、Google Sheets、REST API、PDF、ERP。注文の作成・支払い・フルフィルメント時のリアルタイム送信か、スケジュール送信を選べます。出力形式はCSV、XLSX、JSON、XMLで、最上位プランではフィールドごとのShopify Liquid整形が使えます。
プランは Free(直接ダウンロード、1回の書き出しで最大100件)、Basic が $6/month または $66/year(カスタムエクスポート1本、リアルタイムまたは3時間ごと/日次、1回最大1,000件)、Pro が $15/month または $165/year(3本、1回最大2,000件、スケジュール最短120分)、Enterprise が $39/month または $429/year(10本、Liquid整形、スケジュール最短60分)です。有料プランにはいずれも14日間の無料トライアルが記載されています。
判断材料は2つ。まずスケジュールの下限が実際の制約になります。Enterpriseでも最短60分(リスティング上は "allow request" の注記つき)で、数秒単位で動く必要のあるwebhook駆動連携の代替にはなりません。速さが要るならリスティングが説明しているリアルタイムトリガーのほうです。もうひとつはサポートの時間帯で、2026年4月9日の米国マーチャントのレビューはサポートが "only work in the middle of the night so you can't contact them" と述べています。開発元がマレーシアのPetaling Jaya拠点であることと整合的です。エスカレーション経路を米国営業時間に合わせる必要があるなら、契約前に確認してください。このカテゴリー全体はスケジュールエクスポートアプリと標準CSVの比較で掘り下げています。
Mechanic — アプリを作らずにカスタムロジックを動かす

出典: Shopify App Store(Mechanic、2026-09-07時点)
MechanicはLightward(米国イリノイ州シカゴ)提供、Built for Shopifyで評価は5.0(147件)、掲載開始は2018年5月7日です。リスティングは355以上のプリセット自動化に加えて、Liquidで独自タスクを書けることを説明し、連携先としてEmail、Google Sheets、Google Docs、Google Drive、Slack、Airtable、FTP、Webhooksを挙げています。リスティング自身の箇条書きに "Complete automation platform that replaces custom apps and infrastructure" とあり、この記事で扱う理由がまさにそこです。
料金は利用量ではなくShopifyプランの階層に連動します。Basic Shopifyで $16/month、Grow Shopifyで $29/month、Advanced Shopifyで $99/month、Shopify Plusで $199/month。いずれも15日間の無料トライアル付きで、追加の従量課金はないと記載されています。Lightwardはこれを "pay what feels good" のポリシーとし、上記は推奨価格という位置づけです。詳細な条件はリスティングではなく開発元の料金ページ側にあります。
留保すべき点は、Liquidもコードだということです。2026年8月19日の米国マーチャントのレビューは、数十万点規模の商品に対する価格一括変更をスクリプトで実行したと書いています。強力ですが、ノーコード体験ではありません。支払う前に、無料の Shopify Flow で足りるかを確認してください。Flowの公開されている上限がどこで終わるかは別記事で整理しています。
比較表
| Matrixify | syncX: Data Export Reports PDF | Mechanic | |
|---|---|---|---|
| 開発元 | ITissible | SyncX | Lightward |
| Built for Shopify | あり | あり | あり |
| 評価(レビュー件数) | 4.9(1,595) | 4.3(138) | 5.0(147) |
| 主な用途 | 一括インポート・エクスポート・移行 | 外部システムへの注文送信 | カスタム自動化ロジック |
| 無料プラン | あり(1ファイル10件) | あり(1回100件) | なし(15日トライアル) |
| 有料の下限 | $20/month | $6/month | $16/month |
| 記載上の上限 | $200/month | $39/month | $199/month |
| 課金の分母 | 1ジョブあたりのファイル量 | エクスポート本数と1回あたり件数 | Shopifyプランの階層 |
| Shopifyへの書き戻し | あり(フルインポート) | 注文タグ付けのみ(Pro以上) | あり |
| スケジュール下限 | 固定の最短値の記載なし | Enterpriseで60分 | 固定の最短値の記載なし |
| 年払い割引 | 記載なし | 8% | 記載なし |
選び方
既存のlegacy custom appが動いていて、特に何も変わっていない。 構造的な変更は不要です。トークンを安全に保管し、紐づくスタッフアカウントを確認し、unsupported appの9か月という時計を頭に置いておいてください。
外部ツールがShopifyのトークンを要求してくるが、渡せるトークンがもうない。 これはShopify自身のトラブルシューティングが扱っているケースで、記載されている答えはベンダーにOAuth対応を依頼することです。応じてもらえないなら、自前のOAuthセッションを持つApp Storeアプリが代替になります。手作りのトークンではありません。
書き込みを含む一括データの出し入れが必要。 Matrixifyです。学習コストは正直に見積もってください。1ファイル10件の無料Demoプランは、支払う前に自分のファイルが検証を通るか確かめるために存在します。
注文データを3PL・仕入先・ERPへ定期送信したい。 syncX: Data Export Reports PDFが $6/month から。スケジュール下限が要件に足りるか、サポート時間帯が自社と合うかを確認してください。
Shopify Flowでは表現できない条件分岐が必要。 まずFlowを試してください。Basic、Grow、Advanced、Plusで無料です。届かない場合、Mechanicは利用量ではなくShopifyプランに対して課金されるという点で、珍しく予測しやすい料金体系です。
本当にカスタムアプリが必要。 collaboratorアカウントではなく、organizationレベルのアクセスを持つ開発者が必要になります。着手前にclient credentials grantのドキュメントを共有してください。同一organization要件は代理店に何ができて何ができないかを変えるため、要件定義の段階で把握しておくほうが、本番直前に知るより安く済みます。
出典
- Legacy custom apps can't be created after January 1, 2026 — Shopify Changelog
- About apps — Shopify Help Center
- Installing and setting up apps — Shopify Help Center
- Managing apps — Shopify Help Center
- Uninstalling apps — Shopify Help Center
- Authenticate an app for stores in your organization — shopify.dev
- Generate access tokens for admin-created custom apps — shopify.dev
- Dev Dashboard — shopify.dev
- Matrixify — Shopify App Store
- syncX: Data Export Reports PDF — Shopify App Store
- Mechanic — Shopify App Store
料金・評価・レビュー件数は、2026年9月7日にShopify App Storeで確認した値です。App Storeの評価やプラン構成は継続的に変わるため、判断の前に各リスティングを確認してください。
Shopify Magic公式のメディア生成機能は、Shopify Help Centerによれば背景除去・ロゴ生成・ヒーローバナー生成の画像処理にとどまり、動画生成は含まれません。さらにShopifyとは無関係の「Magic: Product Photos & Videos」という名前のアプリが月額19.99〜49.99ドルで存在し、紛らわしい状態です。実在するAI商品動画生成アプリ8本を調査したところ、課金単位はクレジット・動画数・ポイント・1本あたり定額・買い切りパックの5種類に分かれていました。各アプリの最上位プランを実際に生成できる動画1本あたりのコストへ正規化すると、約0.04ドルから約1.29ドルまで、およそ32倍の開きがあります。しかもあるアプリの月額39〜99ドルのプランは、動画の生成数上限を一切公開していません。2026年9月6日調査。