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Amazonのフルフィルメントセンターから Shopify の注文を出荷しているなら、おそらく認識されていない期日がひとつあります。Amazonは Shopify 向けユーザーガイドの中で、既存の Amazon MCF: US Fulfillment アプリを2026年9月30日に停止し、後継の Amazon MCF and Buy with Prime への移行を求めると記載しています。
今日から25日後です。にもかかわらず、2026年9月5日時点で確認した旧アプリのShopify App Storeリスティングには、バナーも終了告知も後継アプリへの言及もありません。あるのは57件のレビューによる評価3.9と、通常の Install ボタンだけです。期日が書かれているのはAmazonのユーザーガイド下部のセクションで、マーチャントが実際にアプリを入れるページではありません。
本記事では、移行で何が変わるのか、Amazonが文書化しているのに前面には出していない後継アプリの制約、そして有料コネクタである Amazon MCF by WebBee や Amazon MCF by ByteStand が無料の公式アプリより適するのはどんな場合かを整理します。
Amazon製アプリが2つ、Shopifyのロケーションも2つ
この移行がややこしいのは、2つのアプリがどちらもAmazon名義で、しかし別々のパートナープロフィールから公開されている点にあります。

出典: Shopify App Store(Amazon MCF: US Fulfillment、2026-09-05時点)
Amazon MCF: US Fulfillment は2022年10月26日公開で、シアトル 501 Fairview Ave N のAmazon開発者プロフィールから提供されています。インストールは無料、評価は57件で3.9、Amazonの移行ガイドが Amazon MCF と呼ぶフルフィルメントロケーションを作成します。

出典: Shopify App Store(Amazon MCF and Buy with Prime、2026-09-05時点)
Amazon MCF and Buy with Prime は2023年7月14日公開で、410 Terry Ave N の別プロフィールから提供されています。こちらもインストールは無料、評価は78件で3.6です。内訳は5つ星が67%、1つ星が19%と平均値から想像するより二極化しており、作成されるロケーション名は Amazon Fulfillment です。
このロケーション名の違いが、移行でいちばん危ないところです。Amazonのガイドは、まず新アプリを入れたうえで 設定 → 配送と配達 → 注文ルーティング を開き、ランク付けされたロケーションのルールで Amazon Fulfillment を Amazon MCF より上位に置くよう指示しています。これを行うまでは、同じ実在庫を参照するAmazon系ロケーションが2つ並び、Shopifyは既存の優先順位に従って注文を割り当て続けます。
Amazonが文書化している移行手順自体は短いものです。旧アプリの Manage product catalog → Update using CSV → Download CSV(MappedとUnmappedの両方を選択)でSKUマッピングを書き出し、新アプリのオンボーディング後にそのCSVを取り込み、テスト注文でマッピング・ルーティング・配送スピード設定を確認し、そのうえで最後に旧アプリをアンインストールします。
ドキュメントではなくレビューから読み取れる注意点もあります。WebBeeに投稿された2026年5月27日付のレビューは、1つのストアでMCFアプリが2本同時に動いた結果、注文がフルフィルメント済みにならず請求書も送信されなくなり、片方を削除して復旧したと述べています。危険なのは併存している状態なので、テスト期間は短く、意図的に区切るべきです。
後継アプリが「やらないこと」
新アプリは無料でAmazon製、単純な米国向けオペレーションであれば十分です。同時に、Amazon自身のFAQが4つの制約を明記しています。
返品はアプリ内で扱えません。 AmazonはMCFの返品について、Shopifyアプリ経由では「直接サポートされていない(aren't directly supported)」と記載しています。返金はShopify側で処理し、在庫をフルフィルメントセンターに戻したい場合はAmazon側の別の返品プロセスに従います。返送の送料はAmazonの負担ではありません。
配送料の計算はしません。 アプリが行うのは、既存のShopify配送オプションとMCFの配送スピード(Standardは3営業日、Expeditedは2営業日)の紐付けだけです。購入者に見える料金は、Amazon Fulfillmentロケーションの配送プロファイルに自分で入力した金額そのままです。重量のあるSKUでAmazonのフルフィルメント手数料が2年前に設定した定額を超えても、アプリは何も教えてくれません。
SKUマッピングは1件ずつです。 AmazonのFAQは「SKUを一括でマッピングするオプションはない(no option to map SKUs in bulk)」と述べており、ShopifyとAmazonでSKU値が異なる商品は手動対応になります。注意すべきなのは、移行手順に出てくるCSVアップロードが 旧アプリからマッピングを移すため のものであり、日常的な一括編集手段ではない点です。四半期ごとに数百SKUを追加するなら、この事務工数を見込む必要があります。
フルフィルメント手数料はShopifyから見えません。 各MCF注文の実費を見るには、Seller Centralで Reports → Payments → All statements をダウンロードし、ファイルのO列を開くようAmazonは案内しています。出荷状況はShopifyの注文画面に、利益は別サイトの表計算ファイルにある状態です。
さらに運用上の上限が2つあります。MCFが受け付けられるのは 1注文あたり250ユニット・100ユニークSKUまで で、これを超える注文は分割して再送信する必要があります。加えてMCFが引き当てるのはフルフィルメントセンターに実在する在庫だけで、入庫予定(inbound)の在庫は計算に入りません。補充が輸送中でも、その商品は販売可能な状態を維持できません。
対応国について、公式情報が3通りに割れている
ここは、どの1ページも鵜呑みにせず自分の市場で確認すべき箇所です。今日時点で、公式の情報源が3つとも違うことを言っています。
- Shopifyヘルプセンター は対象を「米国で注文をフルフィルメントするマーチャント」と「米国の住所の顧客」に限定し、それ以外の国でMCFが必要なら別アプリを使うよう案内しています。
- Amazonのユーザーガイド内FAQ は、アプリが対応するのは「US, UK, Canada, Mexico, Germany, France, Italy, Spain, and India」だけだとし、日本とオーストラリアについてはWebBeeやByteStandなどのサードパーティ連携を案内しています。
- App Storeのリスティング本文 は「US, UK, EU, Japan, Canada, and Australia」に注文を出せると書いています。
3つの中ではユーザーガイドがもっとも具体的で更新も新しいため、実務上はこれを基準に考えるのが妥当です。ただし特定の市場が事業の前提になっているなら、旧アプリを消す前にアプリ内で必ず確認してください。
なお、同じアプリに同梱されるPrimeブランドの配送体験である Buy with Prime は、3つの情報源すべてで米国限定と説明されています。
Amazon Logistics のブロック設定は、どちらに倒しても代償がある
MCFではAmazonが配送業者を選び、その多くはAmazon Logistics(AMZL)です。AMZLでの配送を認めない販売チャネルもあり、Amazon自身がWalmart Marketplaceを例に挙げています。そのためアプリにはAMZLをブロックする手段が用意されています。
ただし条件が細かい設定です。ブロックできるのは 米国とカナダのみ、追加のサーチャージが発生し(Amazonは現在「一時的に免除している」と記載)、適用は注文単位で、フルフィルメントを依頼する 前 に MCF_BLOCK_AMZL タグを付ける必要があります。そもそも利用するにはストア全体の自動フルフィルメントをオフにし、自動化をShopify Flow側で組み直さなければなりません。さらに、Prime配送はAmazon Logisticsを必要とするため、AMZLをブロックした注文は MCF with Prime の対象外になります。
つまり「DTC注文にはPrimeの速度を、マーケットプレイス注文にはAMZL以外の配送を」という運用を望むなら、全体設定ではなく条件付きのFlowが必要です。実現はできますが、チェックボックスひとつの話ではなくワークフロー構築の案件になります。
有料コネクタが料金分の仕事をする場面
AmazonのFAQ自体が、自社アプリでカバーしない領域についてサードパーティ連携を案内しています。そのうちレビュー数で突出しているのが次の2本です。

出典: Shopify App Store(Amazon MCF by WebBee、2026-09-05時点)
Amazon MCF by WebBee(WebBee eSolutions Pvt Ltd.)は2018年3月17日公開、評価は338件で4.8です。ここで挙げる有料コネクタの中で唯一、無料プランを持ちます。Free は月50注文まで、Pay as You Go は月額$5で50注文まで・超過分が1注文$0.03、FAN Plan は月額$95で5,000注文まで・超過分が1注文$0.03です。有料プランには14日間の無料トライアルが付きます。リスティングには、ShipStationなど外部倉庫・3PLへの注文ルーティング、blank box shipping、商品バンドル、バッファ在庫、注文保留(Hold order)、Shopify Flow対応が記載されています。

出典: Shopify App Store(Amazon MCF by ByteStand、2026-09-05時点)
Amazon MCF by ByteStand(ByteStand、米ノースカロライナ州シャーロット)は2016年6月30日公開、評価は383件で4.8です。料金は注文数無制限の定額制で、Starter が月額$25(固定送料)、Scale が月額$35(Amazonのライブ配送料金)、Pro が月額$45(固定+ライブの両方)、いずれも14日間の無料トライアル付きです。ただし全プランに「多くの追加機能は機能ごとの課金(many additional features priced per feature)」と注記があるため、表示価格は下限と考えるべきです。対応地域はUS・UK・EU・カナダ・メキシコ・オーストラリア・日本で、チェックアウトでのMCFライブ料金表示、Amazonと3PL間のルールベースのルーティング、Amazon側に新SKUを作らずに済むvirtual bundles、RechargeやBold Subscriptionsのサブスクリプション注文をMCFへ流す機能が挙げられています。
このうち2つは、前述の穴に直接対応しています。ライブ料金は公式アプリが配送料計算をしないことへの回答であり、サブスクリプション注文のルーティングは、Amazon製アプリが定期購入という概念を持たないために必要になります。
自店舗の注文数で見たアプリ費用
50注文を超えれば無料ではなく、700注文を下回るうちは無制限プランが割安とは限りません。公開料金で計算すると次のようになります。
| 月間MCF注文数 | WebBee(Pay as You Go / FAN) | ByteStand Starter | ByteStand Pro | Amazon MCF and Buy with Prime |
|---|---|---|---|---|
| 50 | $0(Freeプラン) | $25 | $45 | $0 |
| 250 | $11.00 | $25 | $45 | $0 |
| 750 | $26.00 | $25 | $45 | $0 |
| 2,000 | $63.50 | $25 | $45 | $0 |
| 5,000 | $95.00(FAN) | $25 | $45 | $0 |
いずれもアプリ費用のみで、Amazonのユニット単位のMCFフルフィルメント手数料は、$0の列も含めてすべて別途請求されます。
損益分岐点は ByteStand Starter に対して 月およそ717注文、Pro に対して およそ1,383注文 です。これを下回る規模ではWebBeeの従量課金が安く、上回ると ByteStand の定額が安くなり、規模が大きいほど差は開きます。5,000注文ではWebBeeのFAN Planが$95、ByteStandが$45ですが、上位プランに含まれる機能が必要かどうかで意味が変わります。
選び方
公式アプリのままでよい場合。 米国内の注文を米国の住所へ送っており、SKU数が安定していて、サブスクリプションでMCFを使う必要がなく、定額送料で手数料をカバーでき、フルフィルメント費用をSeller Centralで確認する運用を許容できるなら十分です。無料ですし、Amazonが案内するPreferred Pricing(対象セラーはMCFフルフィルメント手数料が最大15%引き、出荷1ユニットあたり最大$1のFBAクレジット)は、どのアプリから注文を送るかではなくMCFというサービスに紐づく制度で、対象条件はSeller Centralに記載されています。
WebBeeを足す場合。 月およそ700注文以下で従量課金にしたい、注文の一部を3PLに、一部をAmazonに振り分けたい、あるいは移行検証の間は無料プランで始めたい、といったケースです。
ByteStandを足す場合。 月およそ1,400注文以上、チェックアウトで推定の定額ではなくAmazonのライブ料金を出したい、サブスクリプション注文をMCFで出荷したい、あるいはAmazon自身のFAQが公式アプリの対象外としている日本・オーストラリアで運用している場合です。
MCF自体を見直す場合。 「返品は自社で処理し送料も自社負担」が無視できないコストになるほど返品が多い、あるいはブランド体験がパッケージに依存している場合です。MCFは既定で無地の梱包で出荷され、これはマーケットプレイス向けには利点ですが、DTCブランドには制約になります。
9月30日までにやること
- 今どちらのアプリを使っているか確認する。 旧アプリのロケーション名は Amazon MCF、新アプリは Amazon Fulfillment です。アプリ一覧ではなく、設定のロケーション画面で確認してください。
- 旧アプリからSKUマッピングのCSVを今すぐ書き出す。 まだ開けるうちに。新アプリへの一括投入手段はこれだけです。
- 最初の実注文が入る前に注文ルーティングを直す。 Amazon Fulfillment を Amazon MCF より上位にランク付けします。
- ロケーション名を条件にしているFlowを見直す。 「Amazon MCF」で条件分岐しているワークフローは、切り替え後に黙って一致しなくなります。
- 実注文でテストしてからアンインストールする。 Amazonのガイドが削除を最後に置いているのには理由があり、コネクタ2本併存に関するレビューの記録もそれを裏づけています。
このカテゴリの移行全般に言える注意をもう1つ。ByteStandに投稿された2026年9月3日付のレビューは、新しいフルフィルメントモードを有効化した際に明示されない設定手順を3つ見落とし、顧客からの問い合わせで気づくまで15日間注文がAmazonへ届いていなかった経緯を報告しています。どのアプリを選ぶにせよ、切り替え当日に注文がAmazonへ到達しているかを自分の目で確認してください。翌週では遅すぎます。
参考情報
- Amazon Supply Chain Services — Multichannel Fulfillment (MCF) and Buy with Prime app for Shopify user guide
- Amazon Supply Chain Services — Multichannel Fulfillment app for Shopify
- Amazon Supply Chain Services — Multichannel Fulfillment (MCF)
- Buy with Prime Knowledge Center — Using MCF without Amazon Logistics
- Shopifyヘルプセンター — Multi-Channel Fulfillment by Amazon
- Shopify App Store — Amazon MCF: US Fulfillment
- Shopify App Store — Amazon MCF and Buy with Prime
- Shopify App Store — Amazon MCF by WebBee
- Shopify App Store — Amazon MCF by ByteStand
料金・評価・レビュー件数、および2026年9月30日という停止日は、いずれも2026年9月5日時点で上記の情報源(App Storeは英語・US表示、料金はUSD)から確認したものです。予告なく変更される場合があります。
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